【ハイキュー!!】貴方に恋をしたようです。【菅原孝支】

40．優しい。 ページ40

「潔子さん、次三対三でゲーム形式ですよね」

「うん。メンバーはランダムに交換していくから――」


皆は、ゲーム形式の練習にテンションが高いようで、特に翔陽や飛雄はすごい。


最初のメンバーをメモしながら、ちらりと前を見る。


「…………」


スガさんとは、一言も話していない。

目も合わない。


私も、自然と避けてしまうんだ。



もしかしたら、これから話すことはできないのだろうか。



スガさん自身も、私を避けているような。



あの時、私があんな風に自分勝手に怒ったりしなければ。



いや……違う。



私が、勇気を出してスガさんに想いを伝えていたら、報われなくとも少しは何かが変わったのだろうか。




「カバー！！」



視界が歪む。


スガさんの声が聞こえて、こんな状況なのに胸が跳ねて。



「オーライオーライ！！」



あ、ダメだ、涙零れそう。





スガさんが好き。

どうして、あんな態度をとっちゃったの。


好きなのに。


これから話せなくなってしまったら。


あの笑顔を、もう向けられなくなってしまったら。




私は――――



「Aちゃん！！！」


「えっ」



潔子さんに呼ばれて顔を上げる。



目の前にはものすごいスピードのボールがあって。



あ……と思う頃には、私の体は床へと倒れこんだ。





――なんだろう、この感じ。


すごく体が温かくて、フワッと浮いた感覚。



頭に、温かいものが触れた。




――ああ、これ、私知ってるなあ。



優しくて、温かくて、私の好きな――――。





「A…………」






――酷く優しい声で、名前を呼ばれた気がした。

41．伝えたい。→←39．逃げることしか。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す