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31.諦めきれない。 ページ31

―菅原side―

じとーっと大地を睨むと、「なんだよ」と引かれる。


すごいタイミング悪くてガッカリしてる反面、どこかホッとしてるような。



『お前だよ』


って、言い切るのに勇気がいる。

緊張した。



「……なんだかなあ…」



この気持ちがなんなのか、俺はまだ知らない。


Aに対するこの気持ちが『恋』と呼ぶものだと知るのは、あともう少し。






――――――…………



――――ダンッと大きな音。


「飛雄!?蛍!?」


ネットの前では飛雄と蛍が転倒していた。


二人共顔をしかめている。


「どうしたんですか!?」


「ブロックする時に二人で派手にぶつかっちまったんだ」


田中さんの言葉に、二人の様子を見る。


蛍の方は潔子さんが見ているため、私は飛雄に近づいた。


「飛雄、足ひねった?」

「ああ、軽くな」


捻挫まではいかないと思うが、万が一の事もあるだろう。


「飛雄、一応湿布貼っておこう、部室に救急箱あるから」



大丈夫だと言いはる飛雄だけど、私は無理矢理飛雄を引っ張った。




「…………」

「……スガ?」

「!!……あ、何?」

「……いや…」




「――あーあ、ちょっと赤くなってるね」

救急箱の中から湿布を取り出して、ペリペリと剥がす。


飛雄は足首をクルクルと回していた。


「痛い?」

「んー……ちょっと」


今日はあまり動いちゃダメだよ、と言うと、飛雄は心底嫌そうな顔をする。


さすがバレー馬鹿だ、と笑いながら湿布を貼った。


「はいよ、できた」


「ん、サンキュ」



箱を戻していると、飛雄はまだ座ったままだ。


「どうしたの?」

戻らないのかな、と首をかしげる。


飛雄は黙ってこちらを向いた。


「……菅原さんのこと、やっぱ好きなのか」


飛雄の言葉に、思わず声が裏返る。

だけどからかうような素振りはない様子に、私は頷いた。


「……うん、好き」



「菅原さんにもし、好きな人がいたら?」


「いるのは知ってるよ、本人は気になる人って言ってたけどね」


ふははと笑う。

菅原さんの気になる人が、私だったらどんなに幸せだろう。



「……それでも、諦めたくはないかなあ」


……本気で好きだから、簡単に諦めきれない。


飛雄は静かに、自分自身に言い聞かせるようにつぶやいた。




「……そうだな。俺もそうだ」


「え?」







「…………俺、お前が好きだ」

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夏斗 - 初コメ失礼します! とにかく始めにお礼を言わせてください! こんな素敵な作品を書いて下さりありがとうございます!! スガさんの小説少なくないですか!? 数少ないスガさんの作品がこんな甘々なんて最高ですよ!! キュンキュンさせて頂きありがとうございました!! (3月10日 0時) (レス) @page48 id: 73bfbf52f2 (このIDを非表示/違反報告)
zgdj - もうキュンキュン超えてギュンギュンしました!笑最高の作品をありがとうございます!🤍 (3月2日 19時) (レス) @page48 id: 9d014a95bc (このIDを非表示/違反報告)
ぴざまん - あまずっぺえ…良い… (8月11日 19時) (レス) id: 12362f5741 (このIDを非表示/違反報告)
らぅ - 37〜40の一連の想いに涙が止まりませんでした😭 (2022年9月28日 10時) (レス) @page38 id: 0e8ab4d39d (このIDを非表示/違反報告)
れむ。(プロフ) - 素敵な夢小説ですめちゃ好きです…😿♡ もっと早く出会っていればよかったなんて後悔してます😵‍💫 (2022年7月29日 23時) (レス) id: 31e76c62e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蒼空 | 作成日時:2014年5月19日 23時

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