21．気づいてしまった。 ページ21
「それ、どういう……」
「そのままの意味だよ？」
首をコテンと曲げて、及川さんは言った。
セッターとして活躍できる可能性。
それはきっと、飛雄とスガさんを比べてのことだろう。
たしかに、どちらの実力が上かと聞かれれば、それは飛雄なんだろう。
だけど、スガさんも紛れもないセッターだ。
「たしかに飛雄の方が実力はあると思います。でも……スガさんだって、セッターです」
「…………」
「仲間のことを誰よりも見て、考えて、優しい笑顔で励ましてくれるすごい人です。飛雄にアドバイスをしたり、翔陽にトスを上げてあげたり、大地先輩と仲間のことをしっかり支えていて……すごく優しい、私の好きな――」
――――あれ？
私の好きな…………
私、なんて言おうとした？
私が急に言葉をなくすと、及川さんはクスクスと笑い出す。
それから、私を見る。
「ハハッ……そっかそっか、マネちゃんはあの爽やか君のことが好きなんだね」
「―――っ！？」
及川さんの言葉に、顔に一気に熱が溜まった。
私は何も反論ができなくて。
それは、肯定の意味を表しているのだろう。
――――『私の好きな人です』
私はたしかに、こう言おうとした。
「……っ」
そうか。
私は、スガさんのことが好きだったんだ。
いつの間にか、スガさんに恋をしていたようだ。
「あはは、真っ赤ー。でもまあ頑張りなよ。相手が飛雄だったら全力で突き放すけどあの爽やか君じゃ話は別」
「よ、余計なこと言わないでくださいよ」
「マネちゃん面白いよねえ。名前、聞いてもいい？」
「橘Aです」
「Aちゃんか……」と及川さんは呟いて、先ほどとは違う、真剣な光を宿した瞳が綺麗に弧を描いた。
「公式戦では、容赦しないからね」
その気迫に怯みそうになるが、私も負け時と言い返す。
「こっ公式戦でも負けませんから！」
うん、と及川さんは笑って、「それじゃあまたね、Aちゃん」とその場から去って行った。
やっぱりチャラ男っぽいなーと去って行った場所を見つめると、後ろから、あの人の声。
「Aー！そろそろ行くべー！」
うわああスガさん！！
好きだと自覚するのとしないのとでは、状況があまりにも違う。
これからどうしよう……！
「は、はィ！今行きます！」
声が裏返ったことに羞恥を感じながら、私は皆の元へと走って行った。
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夏斗 - 初コメ失礼します！ とにかく始めにお礼を言わせてください！ こんな素敵な作品を書いて下さりありがとうございます!! スガさんの小説少なくないですか!? 数少ないスガさんの作品がこんな甘々なんて最高ですよ!! キュンキュンさせて頂きありがとうございました!! (3月10日 0時) (
レス) @page48 id: 73bfbf52f2 (このIDを非表示/違反報告)
zgdj - もうキュンキュン超えてギュンギュンしました！笑最高の作品をありがとうございます！🤍 (3月2日 19時) (レス) @page48 id: 9d014a95bc (このIDを非表示/違反報告)
ぴざまん - あまずっぺえ…良い… (8月11日 19時) (レス) id: 12362f5741 (このIDを非表示/違反報告)
らぅ - 37〜40の一連の想いに涙が止まりませんでした😭 (2022年9月28日 10時) (レス) @page38 id: 0e8ab4d39d (このIDを非表示/違反報告)
れむ。(プロフ) - 素敵な夢小説ですめちゃ好きです…😿♡ もっと早く出会っていればよかったなんて後悔してます😵💫 (2022年7月29日 23時) (レス) id: 31e76c62e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼空
| 作成日時：2014年5月19日 23時
