19．大王様とは。 ページ19
なんだ、あのチャラ男は。
ヘラヘラと笑う男は、飛雄の話によると及川さんというらしく。
飛雄の中学の先輩で、実力は相当なようだ。
当たり前だけど、さすが主将か。
でもきっと皆なら……！
「Aは、ああいうのが好きなの？」
「えっ？」
隣にいたスガさんが、意外なことを聞いてくる。
私があまりにも及川さんを見ていたからだろうか。
それはチャラ男だの強そうだのの意味しかなかったが。
「いや、確かに格好いいとは思いますよ？でも、好きの部類ではないです」
私が答えると、スガさんは視線を私から逸らしながら、「ふーん」とだけ答える。
あれれ、何か機嫌を損ねてしまっただろうか。
そこで私は、少しだけ緊張しながらも、「でも」と付け加えた。
「わ、私は、スガさんのような人が、好きですけどね」
何言ってるんだろう、私は。
でも事実だしなあ。
私の言葉にスガさんはキョトンとしてから、戸惑うように返事を返した。
「え、あ、そ…そっか」
そして、第三セットが始まった。
及川さんはアップをしているのかまだいなく、私たちは第二セット同様に、どんどん点を稼いでいく。
私たちがマッチポイントといったところで、悪いタイミングだった。
「出た、大王様……！」
翔陽がコートの中でそう言った。
アップを終えた及川さんはボールを片手で持つと、笑みを浮かべながら蛍を指さした。
「その攻撃まで繋げなきゃ、意味ないんだよ？」
そこからは、一瞬だった。
ものすごい威力のジャンプサーブ。
ボールは真っ直ぐ蛍のところへ飛んでいく。
蛍はそれを取ることができない。
それから二度目も、再び蛍が狙われる。
あれだけの威力があるのに、これだけのコントロール技術。
及川さんという人は、本当にすごい人なんだ。
「でも、皆は負けない……っ」
三本目のサーブを、蛍はなんとか取ることができる。
青城側にそれが返ると、及川さんは綺麗に仲間へと渡す。
「しっかり決めろよ、お前ら」
青城側がスパイクを決めようとする。
だけど、そこには翔陽がいて。
ワンタッチでボールを触ると、コートの端から端まで一気に走り抜ける。
――――少しでも遅れれば、追いつけない。
驚く速さで飛雄がトスを打つと、翔陽はそれを当たり前のように打つ。
及川さんの横を抜けたボールは、コートの中で跳ね返る。
試合終了の笛が鳴った。
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夏斗 - 初コメ失礼します！ とにかく始めにお礼を言わせてください！ こんな素敵な作品を書いて下さりありがとうございます!! スガさんの小説少なくないですか!? 数少ないスガさんの作品がこんな甘々なんて最高ですよ!! キュンキュンさせて頂きありがとうございました!! (3月10日 0時) (
レス) @page48 id: 73bfbf52f2 (このIDを非表示/違反報告)
zgdj - もうキュンキュン超えてギュンギュンしました！笑最高の作品をありがとうございます！🤍 (3月2日 19時) (レス) @page48 id: 9d014a95bc (このIDを非表示/違反報告)
ぴざまん - あまずっぺえ…良い… (8月11日 19時) (レス) id: 12362f5741 (このIDを非表示/違反報告)
らぅ - 37〜40の一連の想いに涙が止まりませんでした😭 (2022年9月28日 10時) (レス) @page38 id: 0e8ab4d39d (このIDを非表示/違反報告)
れむ。(プロフ) - 素敵な夢小説ですめちゃ好きです…😿♡ もっと早く出会っていればよかったなんて後悔してます😵💫 (2022年7月29日 23時) (レス) id: 31e76c62e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼空
| 作成日時：2014年5月19日 23時
