記憶の欠片が8つ ページ10
「Aちゃん大丈夫?
魘されてたみたいだけど……」
「……何でもない」
……局長に言うほどでもないだろう……
「そうかなら良いんだよ」
「………髪、結って」
「ああ」
……あの薬はなんだ?
……注射器みたいな物で私の手に……
「……」
「なぁAちゃん
ここの居心地はどうだい?」
「……居心地?」
「ああ
楽しいかい?」
……楽しい?
「………たぶん…
私は楽しいと思う
この辺りがポカポカする……」
そう言って私は胸の辺りを触る
「そうか良かったよ(この子絶対恋愛でも気付かないタイプだな……)」
「………かっこのなかまる見え」
「あっ……ごめん」
「フルフル
よくわからないことだらけだけど、
私、ここで良いと思う」
「?」
「武州であなたたちと出会って、
上京してきて、
真選組になれたのもあなたたちが私と出会ったから
だから私はあなたたちに出会えてよかったと思う」
「そうか……
嬉しいよ……」
近藤さんは泣いてしまった……
「A入るぞ」
………タイミング悪いところで土方が入ってきた
「………近藤さん!?
てかどんな状況!?」
「うっう……
Aちゃんが嬉しいこといってくれてだな……」
「……めんどくせェ……
A
今日見回りあっからな」
「また?
わかった」
私は近藤さんに髪を結ってもらい、
食堂でご飯を食べている
「ふぁ……
今日は起こしに来なかったな」
寝癖を付けたまま言う沖田
「今日は土方が良いといったから」
「そーかい
それと、まだ今日は着物なのか?」
……忘れていた……
「気付かなかった
あとで着替える」
「そーかい」
《武士道とは何も国や主君に忠節を尽くす道だけを指すのではなく、
弱き己を律し、
強き己に近づこうとする意志、
自分なりの美意識に沿い精進するその志をさすのです
あなたも弱き己を律するために刀を振るいなさい》
……誰だったか言われた言葉……
「……弱き己を律するために……刀を振るう……」
「?
Aどうしたんでィ……」
「……昔……
誰だったかわからない……でも……
そんなこと言われた……
《刀を振るうのは
相手を斬るものではない
弱き己を斬るためにあるのだ》って……
弱い自分を斬るためだけに刀を振るえと……」
「そう………ですかィ……」
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作者名:神無 | 作成日時:2016年3月17日 17時