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「ご飯は食べたん？」
「食べてないです」
「お、ちょうどええやん
俺らもまだやねん、一緒に食べようや」
悠太さんの言う「俺ら」が誰のことを指しているのかはよくわからないけれど、甘えるに越したことはないので、私は首を縦に振る。
本当は今日、ジェヒョンくんとこのままご飯を食べに行く予定だった。
かわいいイタリアンのところ、予約してくれてたのにな。
こぼれそうになる涙をぐっと堪える。
「先お風呂入ってきいや
ランドリーの隣に暖簾かかってるとこあんのわかる？」
「あ、わかります
あれ男湯女湯書いてなかったんですけど大丈夫ですか？」
「今は女湯の時間やから
11時から男湯の時間なるから入らんようにな
洗濯機の使い方わかる？」
「わかります」
「自由に使ってな
あと服はちゃんと部屋に干すんやで
洗濯まで終わったら下おいで、ご飯作って待ってるから」
悠太さんはそう言って部屋の扉を開ける。
「……何から何まで、ありがとうございます」
今日初めて会ったばかりだというのに、あれよこれよとこんな子どもに手を焼いてくれる悠太さんに、深く頭を下げる。
私はたとえ自分が聖人でも、他人のためにここまですることは難しいから。
にこにこ笑って助けてくれる悠太さんに甘えられるのは、本当に贅沢なことなんだと、ぼんやりと感じていた。
「泣きそうな顔してるから」
悠太さんはふわりと、シャボン玉が空中を舞うように笑って、私の頭をくしゃりと撫でた。
「ずっと泣きそうな顔してるわ、Aちゃん」
唇を噛み締めると、痛みがじんわりと口元で広がって、同時に目頭の熱さが冷めていくようで、それがまた必要で、必死に下を向いていた。
「お風呂、ゆっくり入りや」
悠太さんは泣いている子どもをあやすようにそう言うと、部屋から出ていった。
それと同時に、涙がほろりとこぼれ落ちた。
「……っ」
堰を切ったように溢れ出す涙が、カーペットに染みを作る。
泣いて、泣いて、しばらく泣けば、ジェヒョンくんのことを忘れられるのかな。
理由も無しに急に別れを切り出されて、雨の中放置されたなんて、ジェヒョンくんがそんなことをしたなんて、今でも信じられない。
スマホを取り出して、ジェヒョンくんとのメッセージ画面を開く。
『ごめん、別れよう』
無機質な彼の言葉と、なんで、という私の声についた既読の文字。
彼からの返信はない。
ぼやける視界を転換させるように、画面を真っ黒に染めた。
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JAEDON - 久し振りに凄く素敵なお話に出逢えました！ありがとうございます。主様のペースで更新これからも頑張って下さい。陰ながら応援しています。 (2020年12月25日 12時) (
レス) id: 5ef0140241 (このIDを非表示/違反報告)
すぐる(プロフ) - ズさん» ズさんコメントありがとうございます(；；)ドヨンもジェヒョンも書くのが得意では無いのでそう言っていたどけてとても嬉しいです(><)入試で忙しくなるので不定期更新になりますが気長にお待ちいただければ幸いです。ありがとうございます^^* (2020年12月18日 7時) (レス) id: dbff4f3590 (このIDを非表示/違反報告)
ズ(プロフ) - 凄く好みのお話ですぐ引き込まれました＾＾更新楽しみに待ってます。 (2020年12月16日 15時) (レス) id: 5074d81f67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すぐる | 作成日時：2020年11月11日 22時
