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11話 ページ11

「俺はお前が口を開くことを許可していない。与えられた質問にだけ答えろ。」


金髪の方が喋る。確か名はグルッペンと言ったか。後ろに控える男も確か幹部だ。写真集にいた気がする。名前は覚えていないが、動物っぽい名前だった気がする。


私を見る2人の目は氷のように冷たい。背筋がぞくりと震える。恐怖で鉄格子を掴む手が震えている。私はただの田舎育ちの小娘なのだ。殺気など向けられたことがない。


「返事は」



黒髪の方が初めて口を開く。



『はい』



どうにか絞り出した声は情けないほどに震えている。情けない。これでは自分の無実を伝えられない。2人は確実に犯罪者を見る目で私を見ている。


唇を強く噛み締める。口の中に血の味が広がるのも気にせず力を込める。ダメだ。泣くな。自分を強く持て。負けるな、真実を訴えろ。


真っ直ぐに金髪の目を見つめる。真っ赤な瞳は底冷えするような恐怖を感じさせる。でも絶対に負けない。私は間違っていない。萎縮する必要なんてない。決して屈しない。


真っ赤な瞳が、すぅっと細められる。なんとなく笑った気がした。私が負けるとでも思っているのか。一切の表情を消して目を見る。心を読まれてたまるか。


後ろの黒髪が眉を顰めたのが見える。そりゃそうだ。さっきまで泣きそうになっていた女が、突然真顔になったらびっくりするだろうな。内心ほくそ笑む。お前らの思う通りにはさせない。


「あのブレスレットはどこで盗んだものだ」



『盗んでおりません』



「あれは、貴様のような平民の女が手に入れられるようなモノでは無い」



『あれは父から譲り受けた形見です。それ以上の情報は存じ上げません。』



「父親は何者だ」



『ただのしがない農夫でございます』



「どこの国出身だ」



『知りません。父は昔を語りたがらない人でしたので』



「父親の名前は?」



『アドニス・ウィンドミルでございます。』


そこで金髪の目が大きく開かれた。黒髪の方も驚いた顔をしている。え、何その反応。



「…母親の名は?」



『エリス・ウィンドミルです。』



金髪と黒髪が、驚愕と言った表情になった。



「お前…まさか…」


と、金髪が顎に手を添え考え込む。しばらくあとふ、と顔を上げた。


「消えた、王の弟の娘か?」

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@鬼 - まじ、推しが尊い(真顔)更新頑張って下さい!! (2021年5月3日 20時) (レス) id: 98b100c2bc (このIDを非表示/違反報告)
猫大好き - あー面白すぎ!私、ショッピ君にお姫様ってよばれたい!!!!!!!!ゆっくり更新してください (2020年8月22日 16時) (レス) id: 932515d6d7 (このIDを非表示/違反報告)
しゆ(プロフ) - ひゅうさん» ひゅうさんありがとうございます!そう言っていただけて本当に嬉しいです!これからも頑張ります! (2020年6月10日 12時) (レス) id: 83f7b97a4e (このIDを非表示/違反報告)
ひゅう(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!これからもがんばってください! (2020年6月9日 20時) (レス) id: 11002cd545 (このIDを非表示/違反報告)
しゆ(プロフ) - 一月鈴華さん» 一月鈴華さんコメントありがとうございます!楽しんで頂けて光栄です…!これからも頑張ります! (2020年6月4日 19時) (レス) id: e2bc21a10a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しゆ | 作成日時:2020年6月1日 0時

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