戦争屋の短編集２ (ページ3)

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足を進めると少し開けた場所に出た。入院している人達が集まって喋ったり、面会に来た家族と話したりするちょっとしたスペース。そこに女が後ろを向いて立っていた。

バッと手を広げショッピを後ろに庇う。女は動かない。1歩女に近づく

すると女の首がギギ…とこちらに少しずつ回る。そのまま首は180度回転した。体は背中を向いているのに、顔はこちらを向いている。首は不自然に伸び変な方向に曲がっていた。ギョロリとした目と目が合う。ぞわりと鳥肌が立った。その目に映るのは憎悪。生きるもの全てを恨み、赦さないという意思。

身体がピシリと固まり動けない。フッフッと呼吸が浅くなる。ショッピを庇う手にはショッピの震えが伝わってきている。

ひたり、とその歪な形のままこちらに向かって歩いてくる。ひたり、と1歩1歩近づいてくる。

また1歩女が歩を進めた時

｢お前！！！！俺の仲間に何しとんねん！！！！｣

あまりの大声にびくりと身体を震わせた。反対側の廊下から走ってきたコネシマはその勢いそのままに女に飛び蹴りをかました。ふっと体に入っていた力が抜ける。

ドガァアン！！！と音がして女は壁に激突する。ずしゃ…と歪な形で地面に崩れる。

｢おい！コネシマ！！勝手に先行くなって…Aとショッピやんけ！！大丈夫か！｣

シャオロンはこの状況を瞬時に理解したらしく、女に向かってスコップを構える。

｢そいつやんな？Aが言ってた女｣

そうだ、と首を縦に振る。今にも崩れ落ちそうなショッピを支え、女と距離を取る。ショッピはコネシマの声を聞いたからか少し元気が出たようだ。