戦争屋の短編集２ (ページ18)

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② ページ18

｢させるわけないやんか！！！！｣

ガギィン、と金属と金属がぶつかり合う音がする。

｢チッ！ゾム！！｣

目を開けると、ゾムが俺の前に立ち、ゲリラの剣を自分の剣で受け止めていた。チラリと鬱の方を見る。

｢鬱は……やられたか｣

｢…お前には、チーノを向かわせていた筈だが｣

ギロリとゲリラがゾムを睨みつける。

｢あんなやつ、すぐ倒したわザコが。お前らもすぐあいつのところに送ってやるよ。そんなことよりなぁショッピィ！！お前裏切ったんか！！！｣

私を後ろに下がらせ、2人に襲いかかる。ゾムは我が国1番の戦力を誇る。しかし見たところ、目の前のゲリラもそれなりに強そうだし、ショッピもゾムと共に私を守るために、訓練をしてきた。絶対に勝てる保証は無い。

｢王！はよ逃げろ！！この国を出れば俺らの勝ちや！｣

ゾムの言葉に足を動かす。ゾムが2人を足止めしている隙に横を抜け出口に向かって走る。

｢あっ！クソっ！！｣

｢行かせるかよ！！｣

激しく剣を打ち合う音が聞こえる。忠臣の2人を亡くすのは惜しいが私が生きていれば何度でも国は建て直せる。私だけでも生き残れば…！！

しばらく走り続けると出口の光が見えてきた。あそこを抜ければ……！！！

息も絶え絶えで、足は棒のようだ。だがあそこを抜ければ、事前に連絡しておいた隣国の軍が私を保護してくれる。

ザンっと何かが切れる音がした。瞬間とてつもない痛みと熱を背中感じる。衝撃で立っていることが出来ず、そのまま地面に倒れる。

後ろを振り返ると、あのトントンと呼ばれた男が立っていた。何故…何故……！！！ドクドクと自分の熱が流れ出している感覚。

あと少し、あと少しなのだ。動かない体にむち打ち出口に向かって這う。もう少し、もう少し……

ズン、と衝撃を感じる。それは胸にゲリラの剣が突き立てられたもの。

最後に見たゲリラの顔は、満面の笑みだった。

王死亡