普ＶＳ茜 ページ10
｢Aさんって好きな人いるの？｣
｢え？｣
放課後。生徒会役員の私は、あまねくんに生徒会のプリントを準備するのを手伝ってもらっていた。
2人しかいない静かな教室に、パチン、パチン、とホチキスで紙を止める音だけが響く。
…好きな人。いないと言ったら嘘になる。
｢もしかして、蒼井茜くん？｣
その名前に私が驚いて目を見開くと、まるで私の事なんて全てお見通しだと言うようにあまねくんが笑う。
｢でも彼って幼なじみの葵さんが好きだよね。しかも病的なくらい。あんなやつ、絶対諦めた方がいいよ。｣
｢そんなこと…わかってるけど…｣
茜くんと葵ちゃん、2人の間に入り込む余地がないことなんて、2人の親友である私が誰よりもよく知っている。それでもどうしても諦めきれないのだ。少しでも彼に近づこうと、成績も良くないのに無理して生徒会に入ってしまうくらいには。
｢それならさ、俺にしない？｣
好きな人、と突拍子もない事を急に言い出す彼。気がつけば彼は距離を詰め、私に顔を近づけていた。
｢アイツなんかよりずっと優しくするからさ……｣
ぐいっとあまねくんが私の顎を持ち上げる。
あ、キスされる。そう直感的に感じたが、まるで彼の瞳に吸い寄せられるように私の身体は動かなかった。
そのとき、ガラッと勢いよく開く教室のドア。そこにはなんと茜くんが立っていた。
｢Aさん、もう会議の時間だから行こう｣
｢え？ちょっと茜くん……！？｣
いきなり茜くんに腕を掴まれる。私が慌てて椅子から立つと、茜くんは私を抱き寄せるようにして肩に手を回す。
｢今後Aさんにちょっかいかけないでくれる？彼女、迷惑がってるだろ。｣
茜くんは冷たい視線を彼に向けながらそう言い放つ。
あまねくんは笑顔を崩さないまま、
｢Aさん、また明日も俺と一緒に居残ろうね。｣
と、私に手を振った。
(796文字)
終わり
ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←デート
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 43人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミク(プロフ) - 続きが早く見たいです更新遅ても大丈夫です！（本当は、明日でも見たいと…思う私）気にしないでください！ (2020年6月16日 17時) (
レス) id: 1e828f9e08 (このIDを非表示/違反報告)
ミク(プロフ) - 「彼の桜の花が散るまでに」読んでみて下さい！私の駄作ですが…イメ画もよちしく！ (2020年6月6日 15時) (レス) id: 1e828f9e08 (このIDを非表示/違反報告)
しゆ(プロフ) - ミクさん» リクエストありがとうございます！看病…いいですね！遅くなるかもしれませんが必ず書かせていただきます！ (2020年6月6日 2時) (レス) id: e2bc21a10a (このIDを非表示/違反報告)
ミク(プロフ) - リクエストで、看病とかどうですか？ (2020年6月5日 14時) (レス) id: 1e828f9e08 (このIDを非表示/違反報告)
しゆ(プロフ) - ミクさん» ミクさんいつもコメントありがとうございます！ご期待に添える夢小説が書けるようにこれからも頑張ります！ (2020年6月4日 16時) (レス) id: e2bc21a10a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しゆ | 作成日時：2020年5月23日 22時
