貴方と幾星霜の年月を。永遠にｰWhite dayｰ ページ8
嘉智子のシェアハウス宅、休日はいつもキッチンを占領している嘉智子だが、そこに珍しい来客が来た
「失礼するぞ、嘉智子」
なんと、将門が来た。普段滅多に自分からキッチンに近づかない将門が今日は来たのだ。それに嘉智子は目を丸くした
「あら？どうしたの？」
「4日後、ホワイトデーだろう。桔梗に返してやりたくてな」
「あらそう。何をお返しするの？」
「バームクーヘン」
「………随分難しいのを選ぶのね。将門」
「当たり前だ。難しい程燃える、それに…俺と桔梗の間にバームクーヘンの年輪の様に…年月を重ねても、一生一緒にいると決めたからな」
そう語る将門の目は真剣そのもので、嘉智子は本当に作る気なのね、と心の中で呟いた。けれどあの暴れん坊だった将門に春が来たならば、それを支えてあげるのも家族なのである、と嘉智子は結論付けた
「ふふ、嘉智子は嬉しいわ。貴方がそんなに熱中出来るような人に出会えて」
「当然だ」
「でも1度嘉智子に会わせて欲しいわ。どんな子なのかしら」
「2年のクラスに行けばいいだろう。話しかければ万事解決だ」
「うーん…それもそうなのだけれど、でも貴方経由で彼女さんを連れてきて…あ、……
「ｸﾞｯ……それはもういい！」
「誘いなさい。嘉智子は楽しみに待っているわ」
「…煩い。兎に角バームクーヘンの作り方を教えろ」
「はぁい」
そして暫くして、バームクーヘンを四角で作ってみようという話になった。次に難題なのはデコレーションだ
「将門はどうしたいのかしら」
「デコレーションは粉砂糖やザラメの類も考えたが、味気なく終わりそうだ」
「んー…あ、そうだわ…ねぇ、将門…知ってる？キャラメルの意味」
「は？」
「キャラメルは──────、って意味があるのよ。念頭に置いておくといいわ。将門」
「…………ふん」
「あ、でも味気ないから石川の加賀で買った食用金箔も使っちゃいましょう。あー…やっと消費出来たわー」
「お前の消費品の為に作ってる訳では無いからな」
「分かってるわ。結果は帰って来てから嘉智子に知らせてね。楽しみに待っているわ」
「あぁ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
