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171. ページ37

過去に想いを馳せた後、椿の花を見下ろしてAは自嘲的に笑った。


(ずっと、なんてあるはずもなかったのに)




「帯はこれで……よし!完璧!」


いつの間に意識が飛んでいたのやら、Aが気づいた時にはすでに着付けが終わっていた。

白い肌に紺の着物がよく映える。
女の千恵達ですら、息を呑むほど美麗だ。


「じゃあ行こっか」


ピンク色の着物を揺らした千恵は、跳ねるように立ち上がりAの手を強く引いた。



Aの肌に映える椿が、風が吹いたかのように揺れる。


椿の花言葉は“完全なる美しさ”


椿の最期は花びら1つ1つが散るのではなく、雄しべと萼のみを残して完全なまま落ちるのだ。

その為椿は見舞いなどには贈ってはならないとされている。

“死”を連想させるからだ。


だがそれはAの理想とする死。

美しいまま、足掻くことなく散る。

それこそが、Aの望み。








だが浴衣にそれが描かれた時、意味は全く異なってくる。


その事に、Aは気づいていなかった。



その柄に込められた想いも、悲しいほどに秘められた優しさも。


何1つ、Aは気づいていなかった。





.

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SHINO(プロフ) - スノウさん» スノウ様!いつもコメントありがとうございます。スノウ様のコメントは本当に何度も読み返してはニヤけてしまって、とても力をいただいています。そうですね、私も主人公の気持ちをやっと書けたので嬉しいです。笑 どうか最後までお付き合いください。 (2017年4月20日 15時) (レス) id: cc409903fa (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - 雪さん» ありがとうございます。気をつけている事に気付いてくださって嬉しいです。fifthの表紙もありがとうございました。申請を出したので使わせていただきます!これからどのような展開になるかは秘密ですが、楽しんでいただけると嬉しいです。ありがとうございます。 (2017年4月20日 15時) (レス) id: cc409903fa (このIDを非表示/違反報告)
スノウ - おつかれさまです!ついに主人公ちゃんから好き、という素直な気持ちが聞けて嬉しいのと同時に、これから彼女がどのように生きていくのか、不安なような楽しみなような。続編待ってます(^^*) (2017年4月18日 23時) (レス) id: 9bbfe87ee5 (このIDを非表示/違反報告)
- お疲れ様です。続編も楽しみにしています。SHINOさんの花火を空が泣くと表現するところや、情景は目に浮かぶのに感情は明かさないようにするところとか本当に好きです。これからも頑張ってください。 (2017年4月18日 20時) (レス) id: 41f82b2237 (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - Yさん» コメントありがとうございます!儚さは私の意識している点でもあるのでとても嬉しいです。終わりを残念だと感じていただけるような作品をかけてよかったです。ですが、まだ終わりそうもないので引き続きお付き合いください。笑 応援、本当にありがとうございます。 (2017年4月16日 16時) (レス) id: cc409903fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SHINO | 作成日時:2016年9月8日 17時

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