170.過去 ページ36
真柴Aside
中2の夏。
ジメジメとした不愉快な暑ささえ忘れてしまうほど、私の心は弾んでいる。
「光、なんて言うかな」
白色に牡丹が描かれた浴衣を見に纏い、私は神社の鳥居の前で光を待っていた。
夏休みは練習で忙しいと言っていたけど、少し時間ができたらしく、大阪から来てくれることになり、急遽2人で縁日に行くことになったのだ。
ちょっとはりきりすぎかな？
でも縁日だし、いいよね。
そんな言い合いを自分自身と繰り返し、高鳴る鼓動を必死に抑えた。
これって、デート？
いや、違うよね。
っていうか光って彼女いるのかな？
いたらどうしよ。
……いや、私には関係ないし。
「A」
「わ、光」
びっくりした。
だってまた、カッコよくなってるんだもん。
数ヶ月ぶりに見た光は少し日焼けしていて、背も伸びてて別人みたいだった。
「……行くで」
無愛想に呟いた光は、私の服装に触れることなく階段を登り始める。
ちょっとくらい褒めてくれてもいいのに。
なんて不貞腐れつつも、光に会えた嬉しさで私の顔はにやけていた。
「光！私焼きそば食べたい！」
人混みに押されつつも、光のTシャツを掴み、そう告げる。
屋台の焼きそば、それが1番と言っていいくらい私の縁日での楽しみ。
「もうちっと女らしいもん食えや」
呆れたように言う光に、少しだけ後悔。
りんご飴って言えばよかったかな。
なんてぼーっとしていると、歩いて来た集団によって、私の指は光のTシャツから離れてしまった。
「光っ」
はぐれてしまった、恐怖が浮かび視界が少しぼやける。
「っあほ」
数秒前に見えなくなった顔がすぐ近くにあった。
いっつもそうだ。
光は呼んだら駆けつけてくれる。
ヒーローみたいに私を見つけてくれる。
「手……」
「え？」
「はぐれたら面倒やろ、早く出せ」
首の裏をかきながら手を差し出す光。
それは光が照れてる時の癖。
「うんっ」
ぎこちなく、でもしっかりと手を繋いだ。
絶対離したくなくて、絶対離して欲しくなくて。
ずっと、一緒にいたくて。
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SHINO(プロフ) - スノウさん» スノウ様！いつもコメントありがとうございます。スノウ様のコメントは本当に何度も読み返してはニヤけてしまって、とても力をいただいています。そうですね、私も主人公の気持ちをやっと書けたので嬉しいです。笑 どうか最後までお付き合いください。 (2017年4月20日 15時) (
レス) id: cc409903fa (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - 雪さん» ありがとうございます。気をつけている事に気付いてくださって嬉しいです。fifthの表紙もありがとうございました。申請を出したので使わせていただきます！これからどのような展開になるかは秘密ですが、楽しんでいただけると嬉しいです。ありがとうございます。 (2017年4月20日 15時) (レス) id: cc409903fa (このIDを非表示/違反報告)
スノウ - おつかれさまです！ついに主人公ちゃんから好き、という素直な気持ちが聞けて嬉しいのと同時に、これから彼女がどのように生きていくのか、不安なような楽しみなような。続編待ってます(^^*) (2017年4月18日 23時) (レス) id: 9bbfe87ee5 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - お疲れ様です。続編も楽しみにしています。SHINOさんの花火を空が泣くと表現するところや、情景は目に浮かぶのに感情は明かさないようにするところとか本当に好きです。これからも頑張ってください。 (2017年4月18日 20時) (レス) id: 41f82b2237 (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - Yさん» コメントありがとうございます！儚さは私の意識している点でもあるのでとても嬉しいです。終わりを残念だと感じていただけるような作品をかけてよかったです。ですが、まだ終わりそうもないので引き続きお付き合いください。笑 応援、本当にありがとうございます。 (2017年4月16日 16時) (レス) id: cc409903fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SHINO
| 作成日時：2016年9月8日 17時
