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138. ページ3

帰路を2人で歩きながらも、Aは先ほどの話題を振らない。

だが、意外にも語り出したのは柳だった。



「仁王はあんなだが、実は一途でな。
中1の頃からずっと、千恵を見ていた。
だか千恵はいつからか、俺にだけ違う顔を見せるようになった」

「蓮二は鋭いからね」


半年以上一緒にいたAには、柳がどれ程周りを見ているか、よくわかる。

データの為だけではなく、ただ仲間として周りを気遣い、見守っていた。


「だから俺は千恵をなるべく避けてきた」


千恵が、仁王を好きになるように。

そう込められた言葉が、風に吹かれ飛んでいく。





「じゃあ、蓮二は?」

「ん?」

「マサとか関係なく、蓮二の気持ちは?」


Aが確信を問えば、薄く開いた柳の瞳は激しく揺らいだ。

聞かずとも、Aはわかっている。
わかっているからこそ、放っておけない。


「俺は……」


自分の気持ちはとっくに自覚している。
だがそれを口にすれば、戻れない気がするのだ。


「わからない」


彼は虚を吐き出した。

わからない、そんな言葉を柳の口から聞く羽目になるなんて、Aは予想もしていなかっただろう。


Aは続く言葉を知っていた。

だが、これ以上は聞けない。

何故なら、柳の想いをあまりにも理解できてしまうから。

だがら、聞けないのだ。




.

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SHINO(プロフ) - スノウさん» スノウ様!いつもコメントありがとうございます。スノウ様のコメントは本当に何度も読み返してはニヤけてしまって、とても力をいただいています。そうですね、私も主人公の気持ちをやっと書けたので嬉しいです。笑 どうか最後までお付き合いください。 (2017年4月20日 15時) (レス) id: cc409903fa (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - 雪さん» ありがとうございます。気をつけている事に気付いてくださって嬉しいです。fifthの表紙もありがとうございました。申請を出したので使わせていただきます!これからどのような展開になるかは秘密ですが、楽しんでいただけると嬉しいです。ありがとうございます。 (2017年4月20日 15時) (レス) id: cc409903fa (このIDを非表示/違反報告)
スノウ - おつかれさまです!ついに主人公ちゃんから好き、という素直な気持ちが聞けて嬉しいのと同時に、これから彼女がどのように生きていくのか、不安なような楽しみなような。続編待ってます(^^*) (2017年4月18日 23時) (レス) id: 9bbfe87ee5 (このIDを非表示/違反報告)
- お疲れ様です。続編も楽しみにしています。SHINOさんの花火を空が泣くと表現するところや、情景は目に浮かぶのに感情は明かさないようにするところとか本当に好きです。これからも頑張ってください。 (2017年4月18日 20時) (レス) id: 41f82b2237 (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - Yさん» コメントありがとうございます!儚さは私の意識している点でもあるのでとても嬉しいです。終わりを残念だと感じていただけるような作品をかけてよかったです。ですが、まだ終わりそうもないので引き続きお付き合いください。笑 応援、本当にありがとうございます。 (2017年4月16日 16時) (レス) id: cc409903fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SHINO | 作成日時:2016年9月8日 17時

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