158. ページ24
「このチョコバナナチーズケーキとはなんだ。
ケーキもついてくるということか？」
メニューを凝視し、眉をしかめる真田。
その形相に店員は怯えつつも笑顔を保つ。
真田が使う横文字ほどおかしなものはない。
Aはクスリと笑みを浮かべた。
「クレープの中にチーズケーキが入っとるんじゃ」
呆れたように首の裏をかいた仁王は既に注文を済ませていて、欠伸を零しながら真田を諭す。
「それはもうクレープとは言わんだろう」
「弦一郎、最近のクレープは進化しているのだろう。
何事も経験だ、試して見るといい」
「……それもそうだな」
納得しない様子の真田を上手く丸め込んだ柳は真田に続いて、抹茶のクレープを注文していた。
甘いものが苦手そうな面々ではあるが、興味の方が勝るようで新しいオモチャを見つめる子供のように目を輝かせている。
「私は黒ごまにしましょう」
「相変わらず渋いのぅ」
「ごまは体にいいですから」
「お前らおっさんだろぃ」
柳生も眼鏡の位置を直しながら注文を終え、当然のようにドロドロに甘いクレープを注文した丸井は、ジャッカルのも一緒に慣れた口調で注文していた。
「Aどうする？」
「うーん、悩んでる。千恵は？」
「私もバナナにしようかイチゴにしようか…」
女は決断が遅いというが本当らしい。
女子2人はメニューを睨み悶々とした表情を浮かべる。
「よし！バナナにしよう！」
やっと決まったのか、財布を握った千恵はAより先にレジへ行ってしまう。
ポツリと残されたAは何度も2つの写真を見比べて、それでもまだ決めあぐねていた。
「何と何で悩んでるんだい？」
注文をまだしていない幸村は、Aに後ろから多い被さるようにしてメニューを覗き込む。
軽く振り返ったAは、距離の近さに驚いて、少しだけ瞳孔を開かせていた。
「……ブラウニーかティラミス」
動揺を悟られないようにそっけなく答えたA。
「じゃあ俺がどっちか頼むから食べ比べする？」
Aの動揺に全く気づかない幸村は、少しだけ微笑んで悪戯っぽくそう聞いた。
「いい、ティラミスにするから」
Aは幸村の笑顔から逃げるようにそう言ってレジへかけた。
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SHINO(プロフ) - スノウさん» スノウ様！いつもコメントありがとうございます。スノウ様のコメントは本当に何度も読み返してはニヤけてしまって、とても力をいただいています。そうですね、私も主人公の気持ちをやっと書けたので嬉しいです。笑 どうか最後までお付き合いください。 (2017年4月20日 15時) (
レス) id: cc409903fa (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - 雪さん» ありがとうございます。気をつけている事に気付いてくださって嬉しいです。fifthの表紙もありがとうございました。申請を出したので使わせていただきます！これからどのような展開になるかは秘密ですが、楽しんでいただけると嬉しいです。ありがとうございます。 (2017年4月20日 15時) (レス) id: cc409903fa (このIDを非表示/違反報告)
スノウ - おつかれさまです！ついに主人公ちゃんから好き、という素直な気持ちが聞けて嬉しいのと同時に、これから彼女がどのように生きていくのか、不安なような楽しみなような。続編待ってます(^^*) (2017年4月18日 23時) (レス) id: 9bbfe87ee5 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - お疲れ様です。続編も楽しみにしています。SHINOさんの花火を空が泣くと表現するところや、情景は目に浮かぶのに感情は明かさないようにするところとか本当に好きです。これからも頑張ってください。 (2017年4月18日 20時) (レス) id: 41f82b2237 (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - Yさん» コメントありがとうございます！儚さは私の意識している点でもあるのでとても嬉しいです。終わりを残念だと感じていただけるような作品をかけてよかったです。ですが、まだ終わりそうもないので引き続きお付き合いください。笑 応援、本当にありがとうございます。 (2017年4月16日 16時) (レス) id: cc409903fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SHINO
| 作成日時：2016年9月8日 17時
