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邪道ヒロイン15 ページ16

「トマト君、ここは和解しよう。
ガムが優先でしょ?」


「う……っ。そうだな」




上手くトマト君を丸め込み、ギシギシと潰されていた頭を救出した。

無事でよかったよ、myヘッド。



「「ガム!!」」



もうはもっても気にしない。


ガム、ガム、ガム。

私たちの頭にはそれしかないのだ。





「しょうがないのぅ。
好きなのもっていきなされ」



ほののん。としてるじぃちゃんを殴りたくなったが、必死に堪える。

ここで暴れては今までの努力が無駄になる。


ごくりと喉をならし、一つのガムに手を伸ばした。




「「あっ」」



トマト君と、私の手が重なる。

その手の先は『グリーンアップル味のガム』が。




「わ、私の方が1秒早かったよね?」


「な、何言ってんだよぃ。
俺に決まってんだろぃ」


「あ、あ、あはは〜、私だと思うなぁ」




気持ちの悪い笑みを浮かべるトマト君と私。



何故こんなになるかって?

グリーンアップル味のガムは、一つしかないからだよ。


絶対に譲るわけにはいかない!


朝のトマト君のガムの匂いのせいで、食べたくなっちゃったんだもん。




「と、トマト君。君授業中だよね?
戻りなよ」


「っお前もだろぃ?」


「わ、わ、私は、いいんだよ」


「な、な、何でだよぃ」


「だ、だってガム当たっちゃったし」




汗がだらだらと吹き出す。


一触即発。

どちらが先に仕掛けるか。



「お、おりゃあ!!」


私でした。


とっさに、ピンクの棒付きキャンディーを振り回す。




「なんの!!」


トマト君も負けてはいなかった。

すぐに黄色の棒付きキャンディーを、構える。



カキンッと重なり、私たちは距離を詰めた。

鼻の先同士が触れそうになる距離で、グッと眉を潜めた。




「トマト君、中々やるね!」


「ああ、お前もな!」



私たちはすっかり侍になりきった。



「敵同士じゃなければ、分かり合えたはずなのに!
神は残酷だ……!」


「そうだな。きっとマブダチになれたぜ!」




役に入り込みすぎて、泣きそうになる。


トマト君。


君のその頭。

実はずっと美味しそうだと思ってたんだ。


素直になれなかった私を、許してくれ。

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ナツ - 面白い、面白い、面白い、面白いぃィィィィ!読んでる途中だけどついコメントしちゃいました。 (2021年2月14日 20時) (レス) id: c58bd08887 (このIDを非表示/違反報告)
茉莉 - 夢主が羨ましいですな…。ゆっきーに受け止められるとか…。 (2015年1月21日 18時) (レス) id: 13030ae857 (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - 菜月夜さん» すみませんんん!!山田って苗字私は好きです!修正します! (2015年1月15日 21時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)
菜月夜 - あの…私の名字、山田なんです…ダサイはひどいよぉぉ←でもこの作品大好きでふファイト!…でもダサいは酷いよ← (2015年1月15日 18時) (レス) id: 3c42b54fb5 (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - 茉莉さん» 面白いだなんてっ!ありがとうございます!ふ、ファン!?恐れ多いです、ほんと。けれどとても嬉しいです。ずっとそう思っていただけるよう、精一杯努めさせていただきます!コメントありがとうございました! (2014年12月31日 0時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SHINO | 作成日時:2014年6月27日 19時

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