6合図 ページ7
「ねぇ、リョーマ」
隣の彼を見上げる。
人は沢山行きかっているのに、私とリョーマだけ別世界にいるような気がした。
「ん?」
優しげな瞳。
綺麗で、透明で、汚れのない。
少し猫目で冷たい印象を受けるけど、本当は誰よりも優しい。
「私のこと、好き?」
なんてずるい女なんだろう。
リョーマの優しさにつけ込んで、返事など決まっているのに。
「まぁ、好きなんじゃない」
照れたように頬を染める彼は、私の黒い部分に気づいてなどいない。
彼は私のことが好き。
自惚れでもなんでもなく、それくらいはわかる。
でも、でももし――――――…。
「フフッ私も」
気づいているのに、気づいてない。
そんな境界線をさまよっている私とリョーマは、この真っ白な空間に色をつけることなどできはしない。
でもきっと、色がついたとしたら。
それは紛れもない。
―――――――――終わりの合図。
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りんね(プロフ) - 今日この作品に出会いました。それぞれの気持ち、考え方が共感できすぎて胸が張り裂けそうでした。気づけば涙が止まらず…素敵な作品をありがとうございます (6月4日 20時) (レス) @page40 id: b603ccdf4c (このIDを非表示/違反報告)
MOMO(プロフ) - やっぱりリョーマ君を推したいけど桃先輩の恋が悲し過ぎて自分の失恋なんかどうでも良くなってきた…(´・ω・`)桃先輩が1番辛いんだろうな…好きなのに想いを伝えられないのが1番辛いだろうし……伝えられたとしても罪悪感が凄いと思うそれなのに何も出来ないのが悔しい (2023年2月19日 21時) (レス) @page27 id: 086efc5a74 (このIDを非表示/違反報告)
鄰 - とても切ないお話で、なんだか胸が締め付けられたような気がしました。続編、読ませていただきます。 (2021年5月3日 23時) (レス) id: 4fb606c628 (このIDを非表示/違反報告)
筍(タケノコ) - すごく泣きました。特に、仁王くんのやつ泣いた。すごく切なくて、この作品好きです。 (2018年1月1日 14時) (レス) id: 65608ed6db (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - りりこさん» ありがとうございます。今読み返すと至らない点が多々ありますが、読んでくださった方に感動を届けられたならよかったです。未熟な私の作品に涙を流してくださってありがとうございます。精一杯頑張らせていただきます。 (2017年4月2日 0時) (レス) id: cc409903fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SHINO | 作成日時:2014年2月8日 20時