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14もうこれで ページ15

「越前来るのが見えてよ。
からかってやったんだよ」




ケラケラと乾いた笑みを零す桃城先輩。

それにホッと、息をついた。


何故か、安心してしまったんだ。




「A、帰るよ」




不機嫌に顔を歪めるリョーマは、強く私の腕を引いた。


……どうしたんだろう?




「そう怒んなよ、越前。
軽い冗談じゃねぇか」




ニヤリと笑う桃城先輩。

リョーマは、ヤキモチをやいてくれてるんだろうか。

でも、桃城先輩の冗談は、今に始まったことじゃないのに。



不信に思い、リョーマを見上げる。

パチリと視線が合わさり、リョーマはフッと自嘲的に微笑んだ。





「桃先輩、やっぱ俺には無理っす」


「お前……っ」




意味深な言葉を残したリョーマは、そのまま私を連れ出した。

目を見開いた、桃城先輩を置いて。


私は、桃城先輩に挨拶するのも忘れて回想に浸った。



無理?

何が無理なの?


私の知らないところで、何が起きてるの?







―――――――――ははっ、もう関係ないか。



別れることに、なるのだから。

もう全部、終わってしまうのだから。





「リョーマ」




人通りの少ない道。

掴まれた腕をくいっと引いた。



手を繋ぐのは、きっとこれで最後。


この温もりは、二度と感じられない。




彼の瞳が私を射抜くことも、もうない。








―――――――――だから最後は、笑いたいの。



これから私は、ちょっとだけずるい事をする。

リョーマを試すこの行為は、私の決意を強くしてくれるから。









.

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りんね(プロフ) - 今日この作品に出会いました。それぞれの気持ち、考え方が共感できすぎて胸が張り裂けそうでした。気づけば涙が止まらず…素敵な作品をありがとうございます (6月4日 20時) (レス) @page40 id: b603ccdf4c (このIDを非表示/違反報告)
MOMO(プロフ) - やっぱりリョーマ君を推したいけど桃先輩の恋が悲し過ぎて自分の失恋なんかどうでも良くなってきた…(´・ω・`)桃先輩が1番辛いんだろうな…好きなのに想いを伝えられないのが1番辛いだろうし……伝えられたとしても罪悪感が凄いと思うそれなのに何も出来ないのが悔しい (2023年2月19日 21時) (レス) @page27 id: 086efc5a74 (このIDを非表示/違反報告)
- とても切ないお話で、なんだか胸が締め付けられたような気がしました。続編、読ませていただきます。 (2021年5月3日 23時) (レス) id: 4fb606c628 (このIDを非表示/違反報告)
筍(タケノコ) - すごく泣きました。特に、仁王くんのやつ泣いた。すごく切なくて、この作品好きです。 (2018年1月1日 14時) (レス) id: 65608ed6db (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - りりこさん» ありがとうございます。今読み返すと至らない点が多々ありますが、読んでくださった方に感動を届けられたならよかったです。未熟な私の作品に涙を流してくださってありがとうございます。精一杯頑張らせていただきます。 (2017年4月2日 0時) (レス) id: cc409903fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SHINO | 作成日時:2014年2月8日 20時

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