【越前リョーマ】優しい君へ、

１２分かってた ページ13

私だって、馬鹿じゃない。


全部、わかってた。





大体、リョーマがデートしようなんて絶対言わないし。



それに、リョーマがプロになるなんてこと、当たり前のように皆が思ってた。

そしたら、離れ離れになるってことも、ちゃんとわかってた。



いつかこんな日がくる事くらい、知ってたよ。





そして、リョーマがテニスを選ぶってことも分かってる。






悩んでも、絶対アイツはテニスを選らんじゃうから。


テニスがないと、駄目な奴だから。







私はただの足枷でしかない。









｢桃城先輩、私だって本気でリョーマが好きです｣


｢……っ｣





ねぇ、そんな顔しないで下さいよ。




私だって、笑いたくないんだから。

こんな風に、無理やり笑顔なんて、作りたくないんだから。





｢リョーマとは、別れます。
だから、心配しないでください｣




今、私どんな顔してるんだろう。


ちゃんと、笑えてるかな。







返答に困っているのか、桃城先輩は、泣きそうな瞳で私を見つめた。


揺れているその瞳は、私をとらえて離さない。




その瞳から逃げたくてたまらない。


哀れみを含んだ視線が、痛くてたまらないの。






「それで、いいのか？」



自分が言ったくせに……。

そんな優しい目で見ないでよ。


桃城先輩が、リョーマを大切にしてることくらい、わかってるから。


だから、強引にでも引き裂いてよ。




そうしてくれれば、吐息だって零せるのに。









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