噂は広まる ページ3
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噂はあっという間に広がる。
とある組織にも噂は広まっていた。
「ねぇ、Fascinantって知ってる？」
「なんだそれ。俺知らねー」
「ちらっと小耳に挟みましたね、その名前」
「僕も聞いたことあります。確か意味は…」
「魅力的な」
「ふわっち」
「やほ〜」
「ふわっちが知ってるなんて意外だね」
「にゃは〜俺も意外と物知りやからね〜」
「そうかあー？」
「そーそー！」
辺りに和やかな声が響き渡る。
また、ふと真面目な雰囲気へと変貌した。
「で、何？その組織が危険なわけ？」
「いや、まだどうかは分からないかな」
「かなかなにしては珍しく曖昧だね？」
「まぁ、ね」
「でも叶くんを不安にさせる何かがあるってことだ」
「確かに」
「警戒するに越したことはないよ」
その会話で一気に緊張感が漂う。
その空気を打破するかのごとく、赤色のメッシュの入った青年が思い出したように尋ねた。
「てかさ、ふわっちは何か知ってる感じじゃん？」
「いやぁ〜ちょっと姫から聞いてな〜」
「まーたホストしてたんでしょ」
「情報収集やて！」
「確かに不破くんのホストの振る舞いで得られてる情報は多いよね」
「やろ〜！？」
同意を得られて嬉しかったのか、声が弾んでいた。
「甘やかすなよ、そいつすぐ調子に乗るからな」
「黛くんは不破くんに甘すぎるんですよ」
「そんなこと言わんといて〜ずは、もちさぁん〜！！」
「「うるせぇ！！」」
先程の緊張感が嘘のように、騒がしくなる。
その様子を少し離れた所から見守っていたこの組織のボス、叶はクスッと笑った。
かと思えば、彼の顔に影が差す。
「Fascinant、ね…」
彼らの行く先は天国か。はたまた地獄か。
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作者名：しののめ。 | 作成日時：2023年12月16日 10時
