八十四話 ページ9
『獪岳！もっと脇を締めて、無駄な動きが多いぞ！』
獪｢っ、クソ！｣
『善逸！腰が引けてるぞ！踏み込みが甘い！！』
善｢ァ痛！？｣
あれから数日、最初の一日と二日目は、私が師範の元でやっていた走り込みや姿勢などの基礎訓練をして、今日からは私と二対一で木刀での模擬戦をしている。
二人共筋はいいな。
獪岳は威力が強く速さもある。だが回避や攻撃の際に無駄な動きが入り、隙が生まれてしまう。
善逸は威力こそ獪岳に劣るが、反射力は優秀。ただし本人の性格から、どうしても剣に迷いが生まれてしまう。
『(二人で来たらいい感じになると思うが……)』
獪｢邪魔すんなカス！！｣
善｢ヒィッ…！｣
『(協調性の無さが一番の問題、か……)』
獪岳は己の自尊心からか、自分より弱いと思っている善逸と協力するという判断が頭にない。
そして善逸も、その獪岳の言葉に反論しない……
これは、早めに直しておいた方が二人の今後の為だな。
〜一時間後〜
『…とまぁこんなもんだ。二人共、筋はいい。これからは毎日二対一の模擬戦していくぞ。勿論、基礎訓練もやる。私を殺す気で来ないと、私には勝てんぞ？』
獪,善｢｢…………｣｣ﾁｰﾝ
って、聞こえてないか。
仕方無い、運んでやるか……
ーーーーーー
ｶﾞﾗｶﾞﾗｯ
『ただいまでーす』
屋敷の扉を開けて言うと、奥から桑島さんが顔を出してきた。
桑｢おぉ、おかえり。…ハハハ！！二人は見事に伸びとるなぁ！今日から模擬戦をやるんじゃったか？｣
『えぇ。二人共悪くなかったですよ。ただ……』
桑｢……協調性の無さか？｣
『流石、よくお分かりで。二人共、才能が無いわけではありません。寧ろその逆、素晴らしい才能があります。しかし、弱点もよく分かる。互いに互いの弱点を補えば、もっと強くなると思うんですがねぇ……』
二人を寝かせて居間に戻り、桑島さんに訓練の成果を話す。これがここ数日の日課になっている。
桑｢儂も何とかしたいのじゃが、何分性格が合わんようでのぉ…｣
『確かに正反対ですもんね、あの二人』
どうにかできないものか……
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作者名：小石 | 作成日時：2020年7月24日 2時
