夜兎族最強の子が大正時代に行った件について 其ノ二

五十二話 ページ18

Aside


カナエの傍には、ふざけた格好をした目に上弦の弍と刻まれている鬼がいた。



『大丈夫か？…と言いたいが、全然大丈夫じゃないよな、多分』



でも、取り敢えず死んではないようで何より。



童｢……あぁ、その空色の髪、もしかして、君が彼の言ってたAっていう子かな？｣


『まぁ、そうだな。こんな髪色の奴、鬼殺隊にそう何人もいないだろう』


カ｢A、ちゃん…｣


『あぁカナエ、無理して動くなよ。もう応援は呼んである。あと少しで到着するだろうから安静に。……まぁ、その前に』



ﾀﾞｯ



童｢っ！｣



ｻﾞﾝｯ!!


私は、カナエと会話している途中だったからか少し油断していた鬼の腕を斬った。



『お前の頸を斬らせてもらう』


童｢いきなり斬るなんて酷い事するな〜？｣


『…カナエ、もし動けるのなら少し離れていてくれ。どれだけ庇いきれるか分からん』


カ｢っ……分かったわ。今の私じゃあ、Aちゃんの足を引っ張ってしまうものね…｣


『……カナエ』


カ｢…？｣


『この任務が済んで元気になったら、しのぶや他の子と一緒に食事に行こう』


カ｢！……その時は、私が払うわね｣



そう言って、カナエはふらつきながらも離れていった。



『よし、これで全力で戦えるぞ』


童｢うーん、俺にも時間があんまり無いんだけどなぁ…朝日も昇りそうだし｣


『朝日で焼き殺すのもありか？』


童｢綺麗な顔して残酷なこと言うね君｣



──日の出まで、あと30分。

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