夜兎族最強の子が大正時代に行った件について 其ノ二

五十一話 ページ17

ー夜ー


『全っ然鬼と会わない…』



カナエと別行動をしてから数時間。何度か報告をしながらも、鬼の所在は掴めないままだ。


──だが、そろそろ…



鎹鴉｢ｶｱｧｧｧ！！報告！報告！胡蝶カナエ、鬼ト遭遇！上弦ノ弍ト判明！至急、応援ヲ求ム！！｣



上弦の弍…



『分かった、すぐに向かう！お前はそのまま御館様の元へ行ってくれ！柊！お前は蝶屋敷に行って、医療班を呼んできてくれ！』


柊｢分カッタ！｣



生きててくれよ、カナエ…！

──────────────

カナエside



カ｢…ハァ…ハァ…｣



さっきから攻撃してるけど、まるで効いてる様子が無い…


対してあっちの攻撃はゆっくりと、でも確実に私を殺しに来ている。


応援を呼んだけれど、Aちゃんが来るまで耐えられるかしら…



童磨｢あぁ…痛そうだね。でも君が悪いんだよ？俺の救済を拒むから…｣


カ｢っ…あなたは、可哀想な人、ね…｣


童｢え？｣


カ｢本当の、救済は…ハァ…本人が、助かって…その周りの人、そして…助けた人も、救われる……それが、本当の救済だと、私は思うわ。でも、あなたの救済は…結局、誰も助からない…誰も報われない…｣



けれど、この人はそのやり方しか知らない……


だから…可哀想な人



童｢……あぁ、何だろうね、この感じ。すごく複雑な気分だ。苛立ち？違うな…戸惑い…？いや、これも違う。…でも、何か嫌だ｣



その瞬間、鬼の目付きが鋭くなった。


…何か、来る



童｢ぁー、分かった。彼と似てるんだ。その知ったような口振りが。純粋な善意からくる、無神経さが｣


カ｢……彼…？｣


童｢……いや、彼の場合善意じゃないか。まぁいいや。そろそろ君を、楽にさせてあげなきゃね。




血鬼術｢蓮葉氷｣｣



鬼が攻撃を仕掛けてくる。でも、体が動かない…



童｢じゃあね、バイバイ｣



あぁ…私はここで……



ｼｭﾝｯ



ｶｷｨﾝｯ



……


……？


痛みが、来ない…？


ゆっくりと瞼を開けると、そこには…



『──間に合った。生きてるか、カナエ｣



日輪刀を持った、大切な友人がいた。

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