【stpr】組長娘と婚約者候補【な組】Part4

#158 ページ30

次に私が目を覚ますと。

見慣れた天井…そして部屋の匂いは知らない。

私なんで……ああ、思い出した。

あの状況から察するに、攫われたのか。

それをまだぼんやりする頭の中で考えていると扉が開く。

「起きたのか、お前2日も寝たままだったぞ」

「2日…貴方は誰？」

どんだけ強い薬嗅がせたのよ。

2日も寝ていたことには驚いたけどまずは名前が先決だわ。

名前を問えば目の前の男は素直に答えてくれた。

「俺の名前は法月聖(のりつきせい)」

「あー、法月組の若さんね」

父さん曰く何度も婚約持ちかけてきたうっとおしい組。

なんとなーく名前を聴いて予想できた。

「大方どこかで私を見かけて婚約に応じないから私を攫ったのね」

「察しがいいじゃないか、驚いたよまさか遊園地で見かけるなんてな」

…あの時のミラーハウスの視線はこいつだったのね。

あのミラーハウスの死角を知ってるなんて……。

それならうちの死角を狙うのも容易いわね。

「単刀直入に言う、お前俺と結婚しろ」

「…ナイフを突きつけて命令口調で言うなんて最低ね」

ほとんど脅しよ。

「な組が何度も何度も婚約を断るせいで俺は…」

見放されでもしたのかしら？同情はしないけど。

「全員から優しくされる羽目になった！！」

「よかったじゃないですか」

冷たくされるならまだしもって感じだけど。

「よくない！！それまでは全員俺は強い男だと思われていたのに！！」

なんとなく読めたなー。

何度もうちが断るからみんなが可哀想でこの人に優しくしたけど。

それがこの人には不服で強い男として扱ってもらいたい。

私がこいつの嫁になれば威厳をまた取り戻せると思ったわけか。

優しくするより腫れ物扱いするほうが似合いそうな人種ね。

さてどうしたもんか。

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