【stpr】組長娘と婚約者候補【な組】Part3

#108 ページ26

〜るぅとSIDE〜

翌日僕が担当の日。

部屋で時々聞こえる音は本をめくるペラッという音だけ。

つまり僕とAさんは静かに読書をしている。

……あれ？この漢字なんて読むんだっけ……？

ど忘れしちゃった……。そう悩んでるとAさんが話しかけてきた。

「るぅと、もしかしてその漢字の読み方分かんない？」

「ど忘れしちゃったみたいで……」

「その漢字は『あいにく』だよ」

そうだった、思い出した……。

「ありがとうございます」

そして僕はまた読書に没頭した。本に没頭してても危険察知くらいは出来る。

「あっ……いたっ……」

Aさんのそんな声が聴こえパッとAさんを見ると。

指から血が……いやでも危険なんて感じなかった。じゃあ…。

なんて思っていると本が目に入った。

本には赤いシミが出来てる。そしてさっきの声から推測出来るのは。

「あ、指紙で切っちゃったんですね」

「ん…」

指紙で切るのって意外と痛いんですよね。

「ティッシュ！ありますか？」

「あ…今朝無くなって……」

仕方ない。そう思って僕はAさんの手首を掴む。

そして傷口の左の人差し指を咥えた。口の中に鉄の味が広がる。

舌で血を舐めると「んっ」と声を出すAさん。

でも拒否することはない。僕に邪な気持ちがないことが分かってるから。

まぁ…ちょっとだけ下心もあるんだけど。大半はティッシュがなかったから仕方なくだ。

その後に僕は襖を開けて声を出して救急箱とティッシュを持ってきてもらった。

持ってきてもらうと手当てをした。消毒したあとに絆創膏を貼る。

「これで大丈夫ですよ、Aさん」

「あり…がと…」

そう言いながら少し顔を紅くする。

……待てよ……Aさんってまさか……。

通常ではないシチュエーションでする口に関する行為に弱い？

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