◇責任取ってしあわせにする Blue ページ27
.
金曜日の仕事終わり。
東京駅のホームを全力ダッシュして、新幹線に飛び乗る。
いつもより少し大きい鞄を抱えて、息を整えながら座席に座る。
"間に合った。日付変わる前にはそっちに着く。"
年頃の娘が親に送るようなメッセージ。
彼氏に送るにはちょっとそっけなかっただろうか。
既読がついたことを確認して、スマホを席のテーブルに置いた。
私が大阪出張に行った時に知り合った彼氏の丈くん。
付き合い始めてからもう5年。
この5年間、毎日のように連絡取っている。
丈くんが東京で仕事がある時は来てくれるけど、
殆どは私がこうして大阪に通っている。
金銭的にも、体力的にも大変だけど、
これがあるから仕事も頑張れるのだった。
いつも新大阪駅までは、丈くんが車で迎えに来てくれる。
「丈くん、お迎えありがと、」
『んー、おつかれー。』
気だるそうに返事をする丈くんは、部屋着のスウェット。
今日もこのまま、丈くんの家。
夜のドライブとか、最近してないなぁ…。
私が仕事で遅くなっちゃうのも悪いけど。
「丈くん、明日予定は？」
『別に、何も予定は入れてない。』
「本当？じゃあ久々に万博公園、行きたい！！」
『んー。』
「たまには良いじゃーん！！デート！！！」
『せやなぁ…。』
会話終了。
いやいやいやいや、ちょっと待って。
え？
行くのか行かないのか、どっち？
そう言わんばかりに丈くんを見つめても、
丈くんは気付くことはなくて。
それでも思ってることが素直に言えないのは、
私達は、毎週会えるわけじゃないから。
"せめて喧嘩だけはしないように"
そう思うと、自然と口数も減ってしまう。
外を眺めていると、車内の雰囲気とはまるで真逆。
人や車の通りが多くて、とても賑やかで。
丈くんのバカ。
私がどんな思いで毎回こっちに来てるかわからないくせに。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 101人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紫乃-shino- | 作成日時：2022年5月7日 2時
