NANIWA'N WAY (ページ21)

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◆キスは焦げたパイの味がした　　Pink ページ21

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今日は7月25日、駿くんの誕生日。

ケーキは現場でもたくさん頂いて食べるだろうから、

小さめのアップルパイを焼くことにした。

スポンジケーキやシフォンケーキは難しいけど、

パイなら料理が苦手な私にだって焼ける。

———そう思っていたのは3時間以上前の話。

私の予定では、とっくに完璧なアップルパイが出来上がっているはずだった。

現実、キッチンには焼きすぎて焦げたアップルパイが山積み。

中のアップルジャムを作るまでは良かったのに。

温度や焼き時間が問題なのか、ことごとく焦げて出てくる。

「どうしよう、駿くん帰ってきちゃう…。」

残っているパイ生地もあと1回分。

「よし、最後にもう1回だけ…。」

最後の1回でようやく形にはなったけど、

やっぱりちょっと焦げてる。

ちょっとでもよく出来たアップルパイを選んで、

ラッピングしようとしたその時。

『ただいま～。』

やばい、駿くん帰ってきちゃった…！！

『A～？何で電話出てくれへんの～…って、なんこれ！』

山のように積まれたアップルパイを指差し、驚く駿くん。

そりゃあビックリするよね。

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