67.俺が後悔していること ページ20
俺が近くまでよって血が出ている頬を痛まないよう軽く触る。
蛍「…！」
焦「クソ親父にやられたのか。俺が側にいれば…、」
蛍の瞳が少し揺れた気がした。だがすぐに目を伏せる。
蛍「……平気。もう慣れてる。」
柔く俺の手を退かす蛍。
＿＿"もう慣れてる"。その言葉に俺は顔をしかめる。
焦「手当てすんぞ。」
蛍「……自分で出来る。」
そんな言い分を無視して自分より小さい手を引いて家の中へ入った。
『すまーっしゅ！』
＿＿＿＿俺の妹は昔は笑顔が多くて今よりまだ口数も多い方だった。
『蛍、ヒーローごっこやろう。』
『だめだよ、おにいちゃん。そろそろおべんきょーしなくちゃ…。』
『……』
『…ふふ、わたしもしたい！ちょっとだけやろっ！』
『！…うん！』
一日中ずっと一緒にいて本当に仲が良かった。
なのに…、"個性"が出たあの時から。
『ようやくか！やっとだ、やっと…！！』
地獄のような日々が始まった。
毎日のようにアザを作る俺達、辛そうなお母さん。
そんな日々でも、そんな環境でも、
『ジャーーン！ねえおにいちゃんっ、これ見てっ！』
お前はいつだって笑顔で、何より俺のために母のためにいつも必死だった。
『ｯｸﾞｽ……、うっ、うう…』
『おにいちゃん…』
傷だらけなのは一緒なのに泣いているのはいつも俺。
『大丈夫だよ、だってずっと側にわたしがいるもん。』
俺が辛いとき、苦しいとき、助けを求めたとき。
＿＿お前は笑って必ず手を差しのべてくれた。
＿＿なのに……
憎しみでいっぱいで、クソ親父のことしか考えられなくなった。蛍が自分の容姿を……アイツに"似ている"ということを気にしているのを俺は知っていた。
『"左"は使わねぇ。』
『こんな力…！』
俺の言動が、行動が妹をどれだけ傷つけていたか。
いつものようにお前は手を差し出してくれたのに
"俺に構うな"
ﾊﾟﾝｯ
その手を振り払うどころか…冷たく突き放した。
＿＿酷いことをした、傷つけるようなことをたくさん。
『蛍は元気？』
『……ああ。』
そう…良かった…。
とお母さんは安心したように笑った。
『でも……変わっちまった。俺のせいで。』
母には自分のやってしまったこと、妹の変化……全て話した。
『そう…』
母はあまり驚かなかった。
予想してたみてぇにすんなり受け入れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 217人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
pino(プロフ) - 桜さん» エンデヴァーって絶対親バカだと思うんですよね…笑 (2019年7月3日 20時) (
レス) id: 7816ba7c93 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - エンデバーw親バカw (2019年7月3日 20時) (レス) id: 7bef5e0dd1 (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - 美加代さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！(TT)頑張ります！ (2019年5月6日 8時) (レス) id: 7816ba7c93 (このIDを非表示/違反報告)
美加代 - めっちゃ面白いです！もう毎日更新楽しみに待ってます！これからも応援してます！頑張って下さい！ (2019年5月6日 6時) (レス) id: 3ef79b5796 (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - 南風さん» 漢字難しい…！コメントありがとうございます！更新頑張ります！！ (2019年4月21日 19時) (レス) id: 7816ba7c93 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：pino | 作成日時：2019年3月15日 16時
