chapter12 ページ16
私のことをぎゅ、と抱きしめ喜ぶ名前も知らない目の前の彼女。
だけど彼女は私の名前を知ってる。
きっと私が無くした記憶の中にいる子なんだ。
私の感情が顔に出ていたのだろう、彼女は頭を傾げた。
「あれ、私のこと忘れちゃった?青子よ、中森青子!小学校ですっごい仲良かった!てゆーか、幼馴染みかな?」
「小学生の時の…」
「そうそう!小6の時に急に転校しちゃって!さよならも言えなかったんだからー!!快斗なんかめっちゃ泣いてたんだよ?」
「あ、そうだったよね、うん、青子ちゃん。ごめんねあの時は…親が急に転勤決まっちゃって」
私の過去を探るチャンスだ。
全く記憶に無いけどごめんなさい青子ちゃん。少し利用させて貰います。
「あーっと、ごめん、快斗って誰だったっけ…」
「あはは!忘れちゃった?快斗が聞いたら顔面真っ青にして泣きそう!私とAと快斗は3人で幼馴染みだったのよ?Aが私の家の近くに引っ越してきてそれからすぐ3人で遊ぶようになったのよ!小学校低学年くらいの頃かな。快斗はAちゃんに一目惚れしたっぽかったよ」
「そうだったね!忘れてた、快斗くんに謝っておいて〜」
あはは、とまた笑いだす青子ちゃん。
私が聞かなくても色々喋ってくれて助かった。
「青子ちゃんは今高校どこに行ってるの?」
「江古田高校!Aは?」
「私は帝丹だよ」
その後はずっと世間話。
彼女の昔話に合わせるのは大変だったけど、欲しい情報は手に入れることが出来た。
私は12歳まで隣町にいたんだ。
頭の中で情報を整理していると遠くで青子ちゃんを呼ぶ声が聞こえた。
声がした方に顔を向けると眼鏡をかけたツインテールの女の子の姿。
「あ、呼ばれちゃったから、私そろそろ行くね。じゃあねA!今度一緒に遊びに行こうね!」
「うん、バイバイ」
青子ちゃんに手を振って携帯を見つめる。
某SNSアプリの友達欄には新しく『青子』の文字。
ちょっと嬉しい。
もう1回蘭と園子を探す旅に出ようとスマホをポケットにしまい、周りを見渡す。
すると視界の端で見知った小さな男の子が建物の裏手に走り去っていく姿。
「コナンくんだ」
なんであっちに行くんだろう
人混みが苦手なのかな
でもこんな時間だし人多いし、まだ小学生だし、と思いコナンくんの後をつけていくことにした。
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玲生(プロフ) - おじさん意外とかっこよかった (2月15日 17時) (レス) @page29 id: 7f34fd14ff (このIDを非表示/違反報告)
キリン(プロフ) - 胸くそ展開すぎて好きです🫰 (7月24日 15時) (レス) @page29 id: 261e0dc8c8 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - 初コメント失礼します。文章もとても綺麗で読みやすく、最後は物語の中に入り込んだように恐怖を感じました。そしてハイブリストフィアのような闇のある作品が好きな私からすると本当に面白くて最高でした。この作品を完結させて残して下さりありがとうございました。 (2023年3月18日 17時) (レス) @page29 id: 0d9b393e0f (このIDを非表示/違反報告)
いちきちゃん - こわぁ、、神、、ありがとうございます (2023年2月22日 22時) (レス) @page29 id: bbdd29e3b1 (このIDを非表示/違反報告)
きなこmochi - 他の作品と終わり方が違くてすごく良かったです!!永遠ループというのが鳥肌がたちました。 (2021年7月10日 20時) (レス) id: e0f0f02020 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こずめ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/shinkuru101/
作成日時:2017年11月4日 16時