おじさん、誰ですか。【名探偵コナン】

chapter8 ページ12

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もうすぐ夏休みだ。

セミの鳴き声も日に日に煩くなって、夏だなぁ、としみじみ思う



それに伴って学校の授業に『水泳学習』が追加された。


みんながバシャバシャと水着を着て泳いでいるのを日陰で休む私。


やりたいのは山々だけど、一つだけ難点



足首の痣を隠せない


家では足枷を付けていたってなんとも思わない、むしろないと落ち着かないくらいだけど、学校でこの痣を見られるのには流石に抵抗があった。

こんな醜い痣、見て嬉しい人なんていないもの。


それに足首にこんな赤黒い痣があったら、疑われちゃう

家庭内暴力とか、そーいうの。

りょーたろーが嫌な思いしちゃうから、それだけは避けたい。



頬を伝ってきた汗を体操服で拭うと、私の隣に体育教師が寄ってきた。

「大丈夫か」

熱中症とか、と付け足す先生に

「大丈夫です」

と返事をする。

「水泳学習に参加出来ない理由があるのか」

「…はい、一応」

この後理由を聞かれたらどうしよう、と内心焦って理由を考えていたけど、何も聞かれなかった

あ、と何か思いついたように先生が声を上げる


「お前確か、昨年の水泳学習も出てなかったな」

「…え？」

「複雑な事情があるんです、って。昨年も暑い中日陰で長袖長ズボンだったからすごい印象に残ってる」

「昨年、も…」

遠くでせんせー！！と叫ぶ男子生徒の声が聞こえる。それじゃあな、とその生徒の元へ向かった先生の背中を見つめた。




「私、昨年も出れなかったんだ」






なんでだろう、なんて呟いて足首の痣を隠すように両手で撫でた。



今は暑くて、考えるのも面倒だ






家に帰ったら、考えよう



ざわざわ、と胸のうちで色々な感情が渦巻く。


私はそれに気付かないフリをして、眠気に身を任せた。

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