26話 ページ29
僕の予想は当たっていたようで、手だらけの男は池にいる三人の元まで走っていった。
右手を構えていると言うことは、手のひらで何か出来る個性か？
僕はその男の手のひらが梅雨ちゃんに触れる前に、男と梅雨ちゃんの間に自分の腕を滑り込ませた。
男の手が僕の腕を触ったと同時に僕の皮膚にヒビが入りボロボロと崩れていったのだ。
梅雨ちゃんも緑谷くんも峰田くんも、酷い顔をしている。
僕の腕が壊れてしまったから。
男は笑って僕の方を見たが、僕の顔を見た瞬間目を見開いていた。
｢なんだ…お前、腕が崩れたってのに、なんだその顔は｣
僕の腕は、肘から下が崩れて無くなっていた。パラパラと粉々になった僕の肘から下はまるで灰のようだ。
｢？痛くないから｣
にしても、こいつの個性が分からない。
腕が崩れたからさしずめ崩壊と言ったところか。しかし発動条件までは分からない。手のひらか？指か？
｢…脳無｣
｢！やば｣
上を見あげて最後に見えたのは、気持ちの悪い怪物の大きな拳。
反応、出来なかった。
怪物の拳が僕の腹をメリメリと突き破り、僕はそのまま壁へと打ち付けられる。
打ち付けられた壁も衝撃で壊れ、僕に瓦礫が降ってくる。
｢(や、ばい、お腹が、)｣
完全に内蔵が破裂したのが分かった。
体の中の血液が逆流して、口からたくさんの血が溢れ出す。
煙が晴れて僕の姿を確認したらしい緑谷くんがガタガタと震える。
｢は、葬くんっ！！！！！｣
｢葬？｣
緑谷くんの声に手だらけ男が反応した。
僕の苗字を聞いた瞬間元々薄ら笑いを浮かべていた口元が更に上がるのが分かった。
｢はは、通りで痛みを感じないわけだ。お前、あの葬家なんだなぁ！ああ、いいなぁいいなぁ…お前が欲しくなってきた｣
ゆっくり、一歩一歩を踏みしめるかの様に僕に近づいてくる男。
漸く僕の前まで辿り着くと、僕の髪の毛を掴んで上を向かせた。
お腹が痛い…
首の骨も、きし、と嫌な音をたてた。
｢ぐ、っ｣
｢なぁ。………死庵は元気か？｣
｢、は？｣
なんで。
なんでこの男から父様の名前が出てくるんだ。
なんで敵から。
僕は、この世で、父親とこの個性が一番嫌いだ。
だが、父親の強さは認めていた。
個性の扱い方も、他人との接し方も、その点に関しては僕は父親を尊敬すらしていた。
心のどこかで分かっていたかもしれない。
政府直属の護衛という家業において、色々なところで顔が割れているということ。
それは敵も例外じゃない。
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志貴 - とても面白いです！！まだ、Twitterやっているのであればお話しませんか！ (2019年12月29日 1時) (
レス) id: 8ad0ee779a (このIDを非表示/違反報告)
ワーカーホーリック - すごく面白いです！更新待ってます！頑張ってください\(`・∀・´)/ (2018年10月19日 3時) (レス) id: f98b79cb93 (このIDを非表示/違反報告)
アヤ@二次元最高(プロフ) - 初めまして。凄く面白いです。これからも楽しみにしてます！更新頑張って下さい！！ (2018年9月3日 2時) (レス) id: 00ac76cb71 (このIDを非表示/違反報告)
こずめ(プロフ) - 龍雅さん» ありがとうございます！夢主くん褒めて頂いて凄いうれしいです！（ ; ; ）死にすぎて死＝恐怖っていう感情が欠落しちゃってるんですよね…ヒーローに於いてはかなり有利な所ですが笑 (2018年8月29日 19時) (レス) id: 767e3f7071 (このIDを非表示/違反報告)
こずめ(プロフ) - ティッシュはマズイですさん» 中井さん＋顔面殺人鬼はもはやセットでやるしかないと思いました…後悔も反省もしていません！！笑笑 コメントありがとうございます！これからもこの作品を読んで頂けると嬉しいです！ (2018年8月29日 19時) (レス) id: 767e3f7071 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こずめ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/shinkuru101/
作成日時：2018年8月23日 16時
