真紅【短編集】

＊ ページ15

天の声さんのその一言で、鼓動がとてつもなく速くなる







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｢もう1人は________っと、ここで一旦CMでーす｣






その声にスタジオがポカーンとなった









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｢なんだよー｣


｢気になるじゃんかー｣




天の声さんの言葉を区切りに収録が休憩に入った






｢…櫻井さん！｣



みんな各々寛いでいる時にマネージャーが小声で俺に声をかけた



｢着替えます｣


｢え、｣








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.









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着替えるって何に！…という俺の言葉は聞こえてないのだろうか


強引にマネージャーにメイク室に連れてこられた俺はみるみる朝と同じ格好にされていく






｢じゃ、それで出てください｣


｢え！？聞いてないよ！？｣


｢いいんですいいんです！それが最大のネタばらしですから！｣


｢え、ちょっ、｣








｢それでは最後の1人を発表致します｣



｢え、なんでそんな仰々しいの｣

｢っていうか翔ちゃんまだだよ？｣

｢そうだ。翔ちゃんは？｣







カーテン越しに聞こえてくるスタジオの会話



それがあんまり可笑しいから、俺もどうでも良くなっちゃって







｢この方です！｣







開かれたカーテンから堂々とウォーキングして出ていく








一瞬ザワっとしたスタジオ


でも何人かのお客さんは気づいたのか、きゃーという声が少し聞こえて









｢…みんな分かる？｣





4人とゲストさんのいるテーブルへ一直線に向かう







最初に目が合ったのは相葉くん



もうこれでもかと目を見開いて口をパクパクさせて、アイドルとしてどうなのよっていう顔をしている







｢嵐の皆さん、お気づきになりましたか？最後の一人は櫻井くんでした！｣





天の声さんがそう言うと、物凄い悲鳴が聞こえてきて(それはどっちの意味なんだろうか)




4人はその一言でようやく確信が持てたのか、


にのは珍しく口をあんぐりと開けて


松潤は全然目合わせてくれないし


智くんは穴が空くぐらい女装した俺を見てる








｢｢｢｢めっちゃ綺麗｣｣｣｣




40手前の男に向かって4人が声をキレイに揃えたかと思ったら俺に抱きついてきて。





｢それではまた来週〜！｣



｢いやいや、締まり悪すぎだからね！？｣






そんな俺の声も届かずに、番組収録が終わってしまった









…案外バレないもんだなぁ。


なんて、また女装してみようかと思ったのは内緒の話。









END

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