聖杯戦争初日 12 ページ34
「…なんだ、A…。」
カルナは何も言わない。沈黙が続く。
自分の心音が聞こえるくらい、緊張している。
顔が熱い。呼吸が上手く出来ない。
何か、何か言って欲しい。
でもカルナは何も言わない。当然だ。話しかけたのは私なのだから私からの言葉を待っているのだろう。この律儀な英霊は。
「本当、なの？その…カルナが私の事を、その、…。」
好いている。その言葉は震える唇のせいで紡ぐ事が出来なかった。代わりに、カルナの口が開く。
「…本当だ。お前を一目見た瞬間、心奪われた。」
耳まで微かに紅くなりながら、カルナはそうはっきり口にした。
信じられない。信じられないけれど、カルナは嘘をつくような人じゃない。それはこの数日間でわかってる。
「すまない、オレはサーヴァントの身。お前とは釣り合わないと承知している。それに、お前を好いているからといってオレの槍が鈍る事は無い。存分に使い、願いを叶えるといい。」
カルナはきっぱりとそう言った。
要はカルナの事を気にせず戦え、と言っているのだ。
「…うん。」
しかしそれがとても悲しかった。どうしてだろう、私もどこかで、カルナの事を人として…。
違う。きっと、カルナが自分の事を道具扱いしているからだ。そうに違いない。そうじゃなきゃだめだ。
そう自分に言い聞かせた。この聖杯戦争に勝ち残ればいい。それだけだ。
「…私、お風呂の準備するから。」
その空間にずっといられず、私は居間を後にした。
傷つけてしまっただろうか。
気持ちを隠していれば良かったか。
カルナは1人残された居間でそう考えていた。
もちろん、マスターに何かあった時には駆けつけられるよう準備してある。
どうすれば良かったのだろう。
コミュニケーションはやはり苦手だ。
ふと見たテレビの黒い画面に虚しさを感じる。
その時、後ろの襖が開いた。
「あら、田舎娘のサーヴァント。」
現れたのは復活したセイバーのマスター、神崎だった。
「神崎か。オレに何か用でも？」
「いいえ、貴方に用がある訳じゃないんだけど…。でも、何かあったみたいね。どうかした？」
「…何も。お前に話すような事などない。」
「…そう、ならいいわ。」
そう言って神崎は襖を閉めようとした。
「そうそう、いらない情報かもしれないけど。あの子、貴方が思ってるより、貴方の事大好きよ。」
「…！」
カルナが神崎の方を振り返ったとき、彼女は襖を閉じていて、姿は見えなくなっていた。
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狂弥(プロフ) - みんみさん» ありがとうございます〜！フォロー失礼しますね！ (2019年9月24日 14時) (
レス) id: 23f56e940f (このIDを非表示/違反報告)
みんみ(プロフ) - 狂弥さん» 了解です！それでしたらこちらのアカウントにどうぞ！@shinkisato3711 (2019年9月24日 14時) (レス) id: 5aac6cf717 (このIDを非表示/違反報告)
狂弥(プロフ) - みんみさん» コメント返信ありがとうございます！まだ未成年なので全年齢の方がいいです！ (2019年9月24日 13時) (レス) id: 23f56e940f (このIDを非表示/違反報告)
みんみ(プロフ) - 狂弥さん» こんにちは！コメントありがとうございます！そんな事を言ってくれるなんて嬉しいです…！Twitterやってますよ！ほぼfateの話だけど18歳以上しか許可できない裏垢と、あまりfateの話はしないけど全年齢向け、どちらがいいですか？ (2019年9月24日 7時) (レス) id: 5aac6cf717 (このIDを非表示/違反報告)
狂弥(プロフ) - こんばんは！いつも更新楽しみにしてます！質問なのですがTwitterなどはしているのでしょうか？不快でなければ教えていただけると嬉しいです！ (2019年9月23日 23時) (レス) id: 23f56e940f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みんみ | 作成日時：2019年8月28日 22時
