天啓の乙女と黄金の槍兵

聖杯戦争初日 3 ページ25

「複雑な家系の者に産まれたこともあるが、お前も難しい年頃だからな。反抗期というやつか？」

カルナは真顔で言う。カルナは本気で言っているのだろうが私には冗談にしか聞こえない。このまましんみりしているのもあれなので、この天然ジョーク(？)に乗じた。

「何それ、私もう19だよ？反抗期は過ぎてますー。」

「なに、19にはもう反抗期が終わっているのか…？」

「世間一般では中学高校くらいだって言われてる。まぁ最近では反抗期が来ない人もいるらしいよ。」

「そうなのか…？」

不思議そうな目でこちらを見つめてくる。興味津々な小学生のようだ。その真剣な眼差しを少しかわいいと思った。

最初出会った時は怖そうな印象だったけれど、たった数日で優しくて、真面目で、心強い、いろいろな面を垣間見た。大英雄だから最初こそ身構えていたけれど、蓋を開けてみれば普通の人間と同じだ。
そう思うと不思議と笑みが零れた。

「どうしたマスター。何か面白いものでもあったか？」

「ううん、何も。気にしないで。」

「そう言われると余計気になる。教えてくれ。」

「ほんと何でもないから。」

「気になる。」

そうそう、こうやって意外と頑固だったりする。


「しょうがないな〜、あのね、思ったんだけどカルナって意外と…」

その時、ピピピと携帯電話の着信音がなった。

この音は確か…電話？だったっけ。

携帯電話を開いてみる。ちなみに私の携帯電話は世間一般で言うガラケー？というやつだ。本当はスマートフォン？にしたかったのだが操作が難しくて諦めた。通話が出来ればいいのでガラケー？でも問題ない、とこれを選んだ。

「えっと、どうやって開けばいいんだこれ…？もしもし？だめだプルプル言ったままだ。どうしよう、カルナ使い方わかる…！？｣

「さすがに聖杯の知識にはそこまでは…。」

「え、どうしよう。この受話器のボタン押せばいいんだよね！？よし！もしもし！」

押した。のだが、耳に携帯電話を当てても声は聞こえない。その代わりツーツーと電子音が聞こえる。

これってドラマでよく見る心電図の心音が止まった音なんじゃ…！

「どうしようカルナ！なんだかよくわからないけど誰かの心臓とまっちゃったみたい！」

「何…！？すぐに応急処置が必要だ…！」

「えぇ…、でも場所もわかんない…てかかけてきたの誰…！？｣

着信履歴が見られるのは知っているが開き方がわからない。どうすれば…！

ピピピ…

もう一度かかってきた。

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