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耳を抑えて苦しむ兵士達。その手には血が、倒れたまま動かない者もいた。
『なん…』
そこまで言って、思わず口を押さえる。なにこれ、なぜ、謡ってないのになんで
私の声に、"力"がこめられているの？
「何が起こってん？！」
「Aちゃん…？」
二人が目を丸くして私を見る。その視線に耐えられなくて
「ちょっと待っ…！」
門へ、走った。頬が熱い。視界が霞む。
怖い、恐い、あの人達を傷つけた自分がこわい。
本来なら歌を謡う事で"力"を使うはずが、ただの私の声で"力"が歌の効果を発揮してしまっている。しかも最悪な事に、その効果は誰かを傷つけるモノ。
なんで、どうして。攻撃の歌なんて、使ったこと無いし"使えない"はずなのに…
脇目もふらず、走る、逃げる。
また謡ってしまわないように。
また。私が誰かを、傷つける前に。
けどこの時必死に走っていたからだろう、もう予知夢の事なんてすっかり忘れていた。
だから、"それ"を見てから思い出したんだ。
黒い軍服に、片目を隠すほどの金髪が映える。
門の前に立つのは…
あぁ、予知夢の通りだ。
もう、逃げ場は無い。
「ご機嫌よう、お嬢さん。どこへ行くつもりだ？」
私からの返事は無い。
否、言葉を返せない。
「既に包囲網は張ってある、逃げ場は無いと思え」
ここまで来たら…逃げれないなら
私には、何ができる？
「A！」
そんな時。一番聞きたくて、一番聞きたくない声が聞こえた。いつも白いその軍服は、赤く染まってるのを見て、目を見開く。
「…役者は揃った、か」
黒い軍服の人が呟く。
ひとらんの後ろから大先生、シャオさん、トントンさんも姿を現す。同じく、反対の方に緑の人…ゾムさんとコネさんも、いた。
私の前に立つ、彼…彼らは対峙したカタチとなる。
「間に合わへんかったか…」
ぽつり、とトントンさんが呟いた。黒い軍服の人の、よく通る低い声でそれはかき消される。
「最終警告だ。その人魚を渡せ」
「嫌だ」
きっぱりとひとらんは言い放つ。
「なんでそんな奴守るんや、意味わからんねんけど」
「お前なぁ、女は守るもんやろ」
「女でも人間ちゃうねんで？」
ゾムさんのその言葉は。私の心に突き刺さる。大先生は珍しく、その言葉に食って掛かる。
「だからなんやねん、陸におったら人魚でも人間でも一緒やろ」
「いいや。違うな」
黒い軍服の人もまた、きっぱりと言い放った。
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あさぎ(プロフ) - 兎さん» ありがとうございます！そう言って頂けるとなによりです、がんばります！ (2018年5月28日 18時) (
レス) id: 14bed239fb (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - お餅さん» ありがとうございます、wrwrd!の皆さんのかっこよさが引き出せていたなら嬉しいです…！ (2018年5月28日 18時) (レス) id: 14bed239fb (このIDを非表示/違反報告)
兎 - 面白い！更新頑張ってね〜 (2018年5月27日 16時) (レス) id: 35388e6f70 (このIDを非表示/違反報告)
お餅 - 面白いですね！みんなかっこいい...これからも更新頑張ってください！ (2018年5月21日 18時) (レス) id: 8d87a6fb69 (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - CAさん» ありがとうございます！更新ゆっくりで申し訳ないですが、そう言って頂けると、とても励みになります…！ (2018年5月21日 1時) (レス) id: 14bed239fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あさぎ
作成日時：2017年8月30日 18時
