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「これ、トントンさんに？」
私の手には分厚い書類が。目の前の大先生は両手を合わせて私に頭を下げる。
「ほんまごめん！ちょっと急用入っていそぎやねん、頼むな！」
トントンの部屋あっちやから！と指差し、ばたばたと慌ただしく去っていく。
『…ま、いっか』
私、引き受けるとは言ってないんだけど…力になれるなら、いいや。
書記長室と書かれた、赤い扉の部屋。コンコン、とノックをすればあまり元気のなさそうな返事が聞こえた。
『失礼します…』
「…へ？」
机の上に積まれた書類から目を離して私を見た途端、ぽかんとするトントンさん。そりゃそうだ。
『えっとですね、大先生からトントンさんに渡して欲しい書類があるとの事で、預かってきました』
「マジでか、ちょっとみせてもらってもええ？」
渡した書類をぱらぱら見たあと、はぁ、とため息をつく。
「ほんま有り難いんやけど、こういう頼み事は断ってええんやで？どうせ大先生の事やから、急いでるからとかなんか言って渡されたんやろ？」
『え、なんでわかったんですか』
目をぱちぱちさせる私に、トントンさんが苦笑する。
「よくある事やねん、しかも大した用でもないのに頼んだりするんやで」
『そうなんですか…』
届けてくれてありがとうな、と言うトントンさんをあとに部屋を出ようとした時。
「なぁ、ちょっと話してもええ？」
『？いいですけど…』
「その、Aさんの事で」
言いづらそうに。でも、はっきりと。
「ひとらん達と仲がええのも、俺らに対して敵意が無いってのもわかっとる。けどな、それでも俺らは"違う"やん」
"違う"それは。
「これは、Aさんが嫌いやから言ってる訳やない。むしろ逆や、そうせんと…自分自身が傷つく、と思うから」
私が、人ではないということ。
「ここに…この国に来るんは、やめた方がいい。今すぐにとは言わんから、考えた方がええ」
その視線は真っ直ぐで、決して冷たくはない。けど、私にはとても、痛かった。
「言いたかったんはそれだけや。引き止めてごめんな」
『…はい、失礼、しました』
それだけ言って部屋を出るのが精一杯で。
震える手で扉を閉めた。
皆優しいから、気にしていなかった。
でも、本当はなんとなく気づいてた。
…考えた方がいい、か。
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あさぎ(プロフ) - 兎さん» ありがとうございます！そう言って頂けるとなによりです、がんばります！ (2018年5月28日 18時) (
レス) id: 14bed239fb (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - お餅さん» ありがとうございます、wrwrd!の皆さんのかっこよさが引き出せていたなら嬉しいです…！ (2018年5月28日 18時) (レス) id: 14bed239fb (このIDを非表示/違反報告)
兎 - 面白い！更新頑張ってね〜 (2018年5月27日 16時) (レス) id: 35388e6f70 (このIDを非表示/違反報告)
お餅 - 面白いですね！みんなかっこいい...これからも更新頑張ってください！ (2018年5月21日 18時) (レス) id: 8d87a6fb69 (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - CAさん» ありがとうございます！更新ゆっくりで申し訳ないですが、そう言って頂けると、とても励みになります…！ (2018年5月21日 1時) (レス) id: 14bed239fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あさぎ
作成日時：2017年8月30日 18時
