7-3 ページ30
・
「え？ 好きな男子？」
「そうよ〜。こういうときはそういう話で盛り上がるものでしょ？」
「はいは〜い。私は、烏間先生！」
「はいはい、そんなのはみんなそうでしょ。クラスの男子だと例えばってことよ」
「えぇ〜」
女子大部屋では恋バナでみんなが盛り上がっている。
ぼんやりとその話を聞いていると、莉桜が正面に回り込んできた。
「Aはどうなの？ クラスの男子とかで気になる人とか！」
「確かに！ Aちゃんのそういう話聞かないもんね。誰か気になってるとかいないの〜？」
「え、私？」
気づけば全員の視線が私に集中している。
「恋愛かぁ……。あんまりそういうのは考えたことなかったかも。お兄ちゃん以上に素敵な男性なんていないし」
「え！？ Aちゃん、お兄ちゃんいたの！？ どんな人？」
倉橋ちゃんがびっくりしたように食いついてくる。
他のみんなも身を乗り出す。
「えっと、ちょっと事情があって一年以上会ってないんだけど。………お兄ちゃんはね、カッコよくて、優しくて」
指折り数えていると、どんどん昔の思い出が蘇ってくる。
「少し見栄っ張りで、自信家で、やっぱりカッコ悪いところもあって。………でも、とっても頼りになって。
………あれ？」
気づけば、ポロポロと泣き出していた。
がんばって涙を止めようとするが、止めどなく涙は流れていく。
「あれ、え、ごめ、私、泣くつもりじゃなかったのに」
修学旅行最後の夜の楽しい雰囲気を台無しにしてしまったことへの罪悪感で、胸が痛くなる。
必死で涙を止めようと顔を擦っていると、優しい手が頭に触れた。
「気にしなくて大丈夫だよ。Aの大切な家族の話だもんね」
「カエデ……ありがとう」
カエデが微笑む。
彼女が私を撫でてくれる手は、とても優しかった。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 76人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
千々(プロフ) - 花游さん» ああ！ 同志が！ 同志がいる！(感涙) とても嬉しいです！ ありがとうございます！ 本当にこの物語は二代目のために書いているようなものなので……最後の最後までぜひぜひお読みいただければと思います！ 絶対に後悔させませんので！ (3月17日 16時) (
レス) id: 1d9d509371 (このIDを非表示/違反報告)
花游(プロフ) - 本当に、本当にありがとうございます……二代目さんの夢女なので命が助かります……！！（ ; ; ）応援しております！！ (3月17日 15時) (レス) @page22 id: 4e8b8c9da9 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - 棗さん» コメント、モチベになるので本当に嬉しいです！ ありがとうございます！ 続きもぜひぜひ楽しんでいただければと思います！ (3月12日 18時) (レス) id: 1d9d509371 (このIDを非表示/違反報告)
棗 - とっても面白かったです！続きを楽しみに待ってますっ((o(´∀｀)o))ﾜｸﾜｸ (3月12日 16時) (レス) @page8 id: d1397bd03f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：千々 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tidierika2/
作成日時：2024年3月9日 17時
