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緑side
気がつくと、そこはもう屋上へと繋がる階段の、踊り場だった。なぜかポケットに入っている携帯を開くと、今日はヤスが飛び降りる日ということがわかった。こんな所でのんびりしてる場合やない、早くヤスを助けたらんと。
登り慣れたはずの階段は、なぜかいつもより長く思える。俺が死なんかったら、俺はまだヤスと一緒におれたんかな。俺が生きてたら、ヤスはあんな目に遭わんくて済んだんかな。…俺がおらんかったら、ヤスは………。
そこまで考えて、思考を止めた。今からヤスに会うんや。向こうは憶えてなくても、俺がヤスを助けるんや。こんな気弱になってたら、助けれるもんも助けれへん。
ふぅ、と深呼吸をして重いドアを開く。
見慣れた広い空、よくわからへんタンク、緑のフェンス、愛しい恋人。
ヤスは、丁度柵に手を掛けているところだった。
「やめとき」
…そう告げた俺の声は、震えてたんやろか。
「そっから飛び降りるん？」
「…死ぬで、自分」
初対面という設定も忘れて饒舌になってまう。早くそのフェンスから手を離してほしい。溜め込んでたこと全部ぶちまけてほしい。…そんでもって、俺のこと思い出してほしい。それは、ただの俺のエゴになってまうんやけど。
「知ってる」
…そう声に出すヤスの目は、俺が今までに見たことないほど、色のないものやった。光が宿ってない。生きてる感じがせえへん。…ほんまに不謹慎かもしれへんけど、まるで一つの宝石みたいに、綺麗やと思った。まだヤスは生きてる。
隣に座れと促して、話を聞く。
自分は生きる価値がないから。その理由で飛び降りようとしたって。
…そんなことない、ヤスはそんな人間なんかやない。肩を揺すって叫んでやりたかったけど、向こうは俺のこと知らんねや。近くにおんのに、おらんようなもどかしい気持ちに襲われる。ほんまはヤスの全部を受け止めて、ギュって抱きしめて、大丈夫やでって、安心させてやりたい。でも、それも出来へん。無力な自分に腹が立ち、バレへんように唇を噛み締める。その間も、ヤスは自分のことを嘲笑っていた。
自分の存在を蔑ろにして、つまらないクラスメイト達、それともうおらん恋人のせいで、人生めちゃくちゃにされて。完璧な被害者やのに、自分に非があると、自分自身を追い詰めて。
そんなヤスを見てると、
「それは辛かったな」
たった一言だけ、慰めの言葉をやる。
もうそれしかできへんかった。
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ぽっぷん(プロフ) - みいこさん» 倉安でしたら大丈夫です！ノロノロ更新なんですが、楽しみに待って頂けると幸いです。リクエストありがとうございます！ (2016年6月22日 23時) (
レス) id: e50920231f (このIDを非表示/違反報告)
みいこ(プロフ) - 間違えました>_<倉安と打ったつもりが…。すみません。倉安の絆系でお願いできますでしょうか？よろしくお願いいたします！ (2016年6月22日 23時) (レス) id: 20152d3f2f (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぷん(プロフ) - みいこさん» コメントありがとうございます。リクエストのことなのですが、倉安短編集なので倉丸のリクエストをお受けすることができません。本当に申し訳ないです(´；ω；｀) (2016年6月22日 23時) (レス) id: e50920231f (このIDを非表示/違反報告)
みいこ(プロフ) - 更新楽しみにしていました^ ^倉丸の絆系のお話を読んでみたいです。これからも応援しています！更新楽しみにしていますので頑張ってください！ (2016年6月22日 23時) (レス) id: 20152d3f2f (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぷん(プロフ) - みぃさん» ありがとうございます！リクエストのお話もう少しお待ちください(；´Д｀) (2016年5月7日 21時) (レス) id: e50920231f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽっぷん | 作成日時：2015年2月16日 20時
