2 ページ19
緑side
今まで感じたことのない衝撃が走り、痛みに目をつむる。周りは大騒ぎで誰かが救急車を呼んだ。意識は朦朧として、もう立つことさえできない。不意に君を見ると、呆然として泣きそうな表情。
…あぁ、そんな顔、せんとって。
∞
｢ここ、どこや…｣
目を開くと、辺りは見たこともないお花畑。傍らにあった看板を見ると、｢天界｣と、歪な文字で書いてある。周りには誰もいない、それよりも俺はどうなったんや。
｢おー、目ぇ覚ましたか｣
後ろから聞こえる声に怯えて、急いで振り向くと、そこには二人の男がいた。
｢おいヨコ、そんな急に声かけたら大倉くんビックリするやろ｣
｢あー、そうやな、すまんすまん｣
悪気はなかったんや、と謝る目の前の白い人と、隣にいる八重歯のお兄さん。何故か手にはハリセンを持っていた。
｢あー、大倉くん、いきなりで悪いねんけどな、君死んでもうたんやわ｣
｢…は？｣
｢でも君生きてた時は善良やったみたいやし、天国いかせてやってもええで｣
｢いや、ちょっと待って下さいよ！｣
死んだ？俺が？そんな、いつ、どうやって。足りない頭をフル回転させる、情報が少なすぎる。記憶を辿っていくと、交差点を思い出した。そうや、俺、ヤスを助けて死んだんや。
｢思い出したみたいやな、その感じやと。大体ヨコの説明が少なすぎるからあかんねんぞ｣
｢大倉くん、思い出した？｣
｢無視かいな｣
目の前で繰り広げられる夫婦漫才、この人等は一体どういう関係なんやろか。
｢大倉くん、天国か地獄かどっち行きたい？｣
｢そりゃ天国、ですけど｣
まだ成仏するには早すぎる、成人もしてなかったのに。それに、彼と交わした約束だって、破ってしまったのだ。
｢天国にいかへん代わりに、願いを１つだけ叶えてもらうことって、できますか？｣
｢そりゃ願いの内容によるわな｣
｢大倉君はやり残したことがあるん？｣
俺の目を真っ直ぐ見てくる二人の目には、何故か安心感があって、見ず知らずの人に、自分の事も、あの約束のことも、全て話した。
｢…そういうことなら、叶えてやれるかもしれんな｣
｢やけど、約束があるんや。破ったらもうその願いは叶えてやれへんし、大倉君は確実に地獄行きや。それでもええか？｣
それでもあの笑顔を見ることができたなら。どんな代償でもいい、今すぐ彼に会いたい。
熱の籠った声でそう伝えると、横山さんと村上さんは微笑んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 135人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽっぷん(プロフ) - みいこさん» 倉安でしたら大丈夫です！ノロノロ更新なんですが、楽しみに待って頂けると幸いです。リクエストありがとうございます！ (2016年6月22日 23時) (
レス) id: e50920231f (このIDを非表示/違反報告)
みいこ(プロフ) - 間違えました>_<倉安と打ったつもりが…。すみません。倉安の絆系でお願いできますでしょうか？よろしくお願いいたします！ (2016年6月22日 23時) (レス) id: 20152d3f2f (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぷん(プロフ) - みいこさん» コメントありがとうございます。リクエストのことなのですが、倉安短編集なので倉丸のリクエストをお受けすることができません。本当に申し訳ないです(´；ω；｀) (2016年6月22日 23時) (レス) id: e50920231f (このIDを非表示/違反報告)
みいこ(プロフ) - 更新楽しみにしていました^ ^倉丸の絆系のお話を読んでみたいです。これからも応援しています！更新楽しみにしていますので頑張ってください！ (2016年6月22日 23時) (レス) id: 20152d3f2f (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぷん(プロフ) - みぃさん» ありがとうございます！リクエストのお話もう少しお待ちください(；´Д｀) (2016年5月7日 21時) (レス) id: e50920231f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽっぷん | 作成日時：2015年2月16日 20時
