This is a roof. ページ18
｢やめとき｣
足を踏み出して手を掛けた屋上の柵、不意に後ろから聞こえる声。
反射的に振り替えると、そこには茶髪で美形な大男。
｢誰、なん｣
｢そこ危ないで｣
俺の言うことなんて聞いてやしない。寧ろ聞くつもりが無さそう。
腹が立つ、いきなり邪魔してきて。
｢そっから飛び降りるん？｣
無遠慮に俺に近付いて、気を効かせるつもりなんてないらしい。大体、こいつは誰なんや。
｢…死ぬで、自分｣
｢知ってる｣
寧ろそうしたいからここに来ているのだ。今更他人に邪魔なんてされたくない。これは俺の問題なのだ。
｢話聞いたるから、こっち座り｣
ここ、と言って、男……否、大倉忠義君は自分の隣を指差した。いきなり現れて自分勝手に俺に指示をして、挙げ句の果てに話をしろと言う。いつもの自分なら無視しているはずなのだが、不思議と悪い気はしなくて、素直に大倉君の横に座り込んだ。
｢で、何であんなとこにおったん｣
｢…楽に、なりたかった、から｣
毎日教室に入ると増え続ける傷。弱々しいから、小さいから。女みたいで、気持ち悪いから。クラスメイトはそう罵って、俺の鞄や上靴、体操服等を隠したりした。登校したら、自分の机はなくて、黒板に悪口が書かれてて、でも皆知らんふりをして、いつも通り過ごしてたこともあった。担任も気付いている筈なのに、いつも通りHRを始めて、授業をするだけ。
本当に辛い、こんな惨めな思いはしたくない。普通に学校に行ってるだけなのに、何故自分だけ不幸な目に遭うのか。そんなこと、誰にもわからなかった。
口に出したら止まらなくて、知り合いでもない隣の大男に、全部話してもうた。大倉君は、ただ頷くだけで、俺のことを、否定も肯定もしなかった。俺の話を、黙って聞いてくれていた。
｢それで、あんなとこにおったん｣
大倉の問い掛けに黙って頷く、どうせ自分が居なくなっても悲しむ人なんていないだろう。考えれば考えるほど、苦しくなる。早く誰かに助けて欲しい。
｢それは辛かったな｣
たった一言、誰にでも言える言葉なのに、深い傷がついた心は、癒えていく気がした。自分でもわからないくらい弱っていたというのか。
慰めの言葉を貰うだけで、こんなに心が軽くなるなんて。油断したら涙が溢れそうだった。
｢…また、明日ここに来てもええ？俺、もっと安田くんとお話したい｣
｢…何で名前、｣
大倉君は俺に背中を向けて、階段を下りていった。
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ぽっぷん(プロフ) - みいこさん» 倉安でしたら大丈夫です！ノロノロ更新なんですが、楽しみに待って頂けると幸いです。リクエストありがとうございます！ (2016年6月22日 23時) (
レス) id: e50920231f (このIDを非表示/違反報告)
みいこ(プロフ) - 間違えました>_<倉安と打ったつもりが…。すみません。倉安の絆系でお願いできますでしょうか？よろしくお願いいたします！ (2016年6月22日 23時) (レス) id: 20152d3f2f (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぷん(プロフ) - みいこさん» コメントありがとうございます。リクエストのことなのですが、倉安短編集なので倉丸のリクエストをお受けすることができません。本当に申し訳ないです(´；ω；｀) (2016年6月22日 23時) (レス) id: e50920231f (このIDを非表示/違反報告)
みいこ(プロフ) - 更新楽しみにしていました^ ^倉丸の絆系のお話を読んでみたいです。これからも応援しています！更新楽しみにしていますので頑張ってください！ (2016年6月22日 23時) (レス) id: 20152d3f2f (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぷん(プロフ) - みぃさん» ありがとうございます！リクエストのお話もう少しお待ちください(；´Д｀) (2016年5月7日 21時) (レス) id: e50920231f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽっぷん | 作成日時：2015年2月16日 20時
