第6夜 ページ7
＊
『あれ、本当に持ってきてくれたんですね』
翌日の朝早くにエルヴィンがAの牢を訪れた。
その手には数冊の本が抱えられている。
「ああ。こちらとしては一刻も早く巨人の脅威をなくしたい。そのための手段なら、多い方がいいだろう？団長も許可を下さった」
鉄格子の隙間から本を数冊入れられ、早速Aはその本を手に取った。
『...巨人に関するものですか？』
「そうだ。我々からしてみれば、巨人を知らないということがとても理解し難い」
ページをパラパラとめくる音がこだまする。
『そんなに巨人って有名なんですか？』
「有名...というか、巨人がいる故に我々人類は壁の中に閉じこもるしかないんだ」
『壁？』
目線は本から離れないが、またしても変な質問をした。
「...50メートル程の高さの 円形に建てられた壁だ。巨人から身を守るため、人類は壁の中で生活している。
この壁は 今までおよそ100年間、巨人の侵入を阻んでいる」
『100年前は？』
この話の不可解な点を、着実につく。
「...資料には残っていない」
『語り継がれもせず？』
「...そうだ」
『随分とおかしな話ですね』
エルヴィンは口を閉ざした。
Aは視線を一瞬上げて彼の顔色を確認すると、するりと話題を切り替える。
『...ここは王政ですか？』
「...ああ」
『昨日と今朝出された食事はパンでした。小麦が主な農作物なんですか？』
「...ああ」
『あ、あと。もしかして肉は貴重だったりします？あのですね、スープの味から思ったんですけど』
「...ああ」
『というか今後人口が増えたら大変ですね。壁なんてものがあるんじゃあ、農地の拡大どころか縮小に追い込まれますしね』
「...ああ」
『他国との交易は？』
「...他国なんてものがあるのかすらわからない」
顔をしかめながら、彼女は視線を上げた。
『地図は、ありますか？』
「...少し待っていろ」
『はーい』
彼は席を立ち、上へと向かう。
矢継ぎ早に質問された休憩も兼ねて。
困ったものだ。恐らく彼女の疑問はまだまだ沢山あるのだろう。
上層部への報告書は団長がほとんど受け持ってくれたため、空いた時間は全て謎の囚人にあてているのだが...
真面目に答えていたらキリがない。それこそ時間オーバーしそうだ。
仲間...家族のように大切にしていた奴らが死んだ直後で申し訳ないが、あいつには他人との対話を多くさせるべきかと思っていたところだ。
丁度いい。
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練紅龍(プロフ) - らんまるさん» ひぃぃありがとうございます！嬉しくて動悸が...！コツコツでもなんでも頑張ってくっきゃないですね！(｀ω´) (2019年6月17日 21時) (
レス) id: 308444a36a (このIDを非表示/違反報告)
練紅龍(プロフ) - かまぼ子さん» ありがとうございます！キノコはそこらじゅうに生えてます。その一部の頭に生えていた分をとりました|彡ｻｯ！ (2019年6月17日 21時) (レス) id: 308444a36a (このIDを非表示/違反報告)
らんまる - こういうのを誰かやってくれると思ってました。想像以上に面白くて更新が楽しみで仕方ありません。ゆっくりまったりお待ちしておりますので、これからも頑張ってください！(*^^*) (2019年6月16日 22時) (レス) id: 1ad8a87860 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼ子(プロフ) - ハンジとの絡みがかなりハマりました。きのこは頭に生えてる感じでしょうか？更新楽しみにしてます^o^ (2019年6月16日 20時) (レス) id: 48e845b0f0 (このIDを非表示/違反報告)
練紅龍(プロフ) - 桔梗さん» とても嬉しいです！ぼちぼち更新ですが、励みになります。 (2018年10月16日 22時) (レス) id: 308444a36a (このIDを非表示/違反報告)
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