普通以上普通未満の生活 (ページ6)

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奇妙な時間ページ6

ばれてしまったものは仕方ない。(私が喪女だと)

こうなったら開き直って高いやつ頼みまくってやる。

「「お疲れ様でーす」」

ゴクゴクと喉を鳴らしながらビールを飲む森本さんに影響されたのか、私も心なしか飲むペースが速い気がする。

「んで？本題に入ろうよ」

『なんでしたっけ、マリオの弟絶対コンプレックス持ってるって話でしたっけ』

「違うよ！？俺ルイージも好きだから！コンプレックスとか言わないであげて！？」

『いいじゃないですか～私の話なんて面白くないですよ』

「面白い面白くないの話じゃないの！ねぇ、本当に今まで恋人いたことないの？」

『え？喧嘩始めますか？』

「逆になんで今までいたことないの？」

『それ本人に聞きます？…う～ん。私が好きになる人は気づいたらみんな彼女もちとかで。その時点で片思いで終わるし。学生時代は年上の魅力にひかれて先生や先輩ばっかり追いかけてたら、あっという間に卒業して、いつの間にか23になってた。って感じですかね』

「見事なほどに一方通行なんだ。確かに親御さんは心配するわな」

『余計なお世話です！だいたい子供子供って、気が早いんですよ。私にだってじっくりしっぽり恋愛する権利はあります。』

「恋愛観が昭和だ」

『文通なんて憧れちゃいますよね～！』

「朝ドラの見すぎだよAちゃん」

なんでそんな絶句してるの森本さん。

「今好きな人は？いないの？」

『なんだか大学に入ってからその手のアンテナが折れたみたいにうんともすんとも言わなくなりました』

「なんだよ～」

おい、あからさまにコイツつまんねぇみたいな顔すな。

『彼氏は欲しいんですけどね』

「いそうな雰囲気はしてるのにね。」

『っていうか、どうやったらカレシってできるんですか？』

「…う～ん」

『だって片思いしかしたことないんですもん』

「アタックは？したことないの？」

『……できないですよそんなの！私なんかが話しかけて良いのかなとかいろいろ考えちゃって』

「……はぁ、あのね、まず私なんかは禁止ね、それと」

こうして、私は森本さんに恋愛について享受されるという奇妙な時間が始まったのである。