娘の心 ページ5
少し気まずい空気の中、「よっしゃ今日は飲みに行くぞ」と言われて数時間。
いくつかの営業が長引き、お昼を食べ損ねてコンビニ飯で済ませることになったところ、俺が行ってくるよと森本さんが自らおパシリになされて残された私は運転席で一人ボーっとしている。そんな折、カバンの中でスマホの着信音が鳴った。
誰？こんな仕事中の時間に。ゲッ……お母さんじゃん。話長いんだよな…
『なに〜？今仕事中なんだけど』
「出るってことは暇なんでしょ。そうそう、お兄ちゃんが子供出来たって！」
『へ〜！あのなよなよしたお兄ちゃんに子供ねぇ。そりゃめでたいわ。……おめでとうって伝えといて。』
「御意御意。あ〜あ、それにしても、あんたの孫の顔見れるのはいつになるかねぇ。あ！ごめんごめん！その前に相手みｔ」ブチッ
いつも一言多いんだよおせっかい！！いや二言？
大きくため息をつくと、車の扉が開いた。
「電話よかったの？」
もしかして、私が電話してたから入ってこなかったの？もう、どんなところまで気まわしてんだかこの人は。
『母からでした。お気遣いありがとうございます。』
「あちゃ〜ばれてたか。いいよいいよ、好きでやってることだから。それにしても、お母さんから電話だなんて、なんかあったの？」
『兄に子供ができたらしくて、その報告でした。』
「ほへ〜！そりゃめでたいね！おめでとう！そのわりにはなんか不機嫌じゃない？」
『私の孫を見る日はいつになるかっていつも冷やかしてくるんです。ってこんな話いいじゃないですか。』
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作者名：Momo | 作成日時：2022年1月14日 1時
