普通以上普通未満の生活 (ページ34)

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細胞レベルの快感ページ34

その日の夜。いつものようにおでん屋で柏さんを待つ。

…全然来ないなぁ。まぁ待ち合わせもしてないし、毎週会えてた方が奇跡か。

結局店主の親父さんに散々愚痴を聞いてもらい、そろそろ帰るか、と席を立った瞬間、暖簾の隙間から甘い香水の匂いがした。

「よ！ぐっちゃん！」

『柏さん。今日はもう来ないかと思った』

「あれ？寂しかったべ」

『いや、元々ソロ活マスターだから』

「初めて聞いたわそんな言葉」

柏さんは席に座ってビールを飲んだ瞬間「くぅ～これこれぇ！」とアルコールを細胞レベルで感じているような顔をする、。

『そんなにビールが恋しかったの？』

「いやさ、最近仕事がマｯｯジで立て込んでて、さっきやっと終わったから。これ1週間ぶりのアルコールなのよ。」

『私だったら耐えれない』

「お前は逆に飲み過ぎだよ。本当に疲れたわマジで。打ち合わせ飛ばしちゃったし」

『それ危なくない？』

「同期に代わりに出てもらったから何とかなったけど、相手が悪かったらダメだったね」

『私も今日そんなことありました。私は飛ばされた側でしたけど。』

「なんか噛み合ってんな。飛ばした相手ぐっちゃんだったら俺あとが怖ぇわ。飲み代請求されそう」

そんな会話が紡がれた数日後、事件は起きるのである。

『……あなたが……田中樹？？』

「…さんな」