普通以上普通未満の生活 (ページ31)

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気まぐれな猫ページ31

朝起きて、顔を洗って、昨日取り入れたばかりの洗濯物の中から一番上の下着をつけるあたり、やっぱりこんなズボラ女に恋は向いていないのかなと思ったり思わなかったり、、、

『はぁ、、、疲れるなぁ』

恋したばかりの時は心も体もドラえもんみたいにちょっと浮いてるくらい軽かったのに、今は謎の倦怠感でため息ばっかり。常に地面に１ミリくらいめり込んでるぐらい重い。

出社してからも、太陽みたいにド明るいジェシーさんや森本さんを見ていると、暗い自分をこれでもかと見せられているようで、ちょっと落ち込む。

「何しけこんでんの？Aさんらしくないじゃん」

横からにゅっと顔を出してきたのは企画部の松村さん。手には何やら資料を持っていて、貼られた付箋にはウチの営業部長の字が書かれていた。

『松村さん、お久しぶりです。うーん、どうにもテンション上がらなくて』

松村さんが「どうして？」と眉を下げると、突然両肩に重みが加わった。肩に置かれた手を目で辿ると、真上に森本さんの顔。そしてその横に不思議そうな顔をしたジェシーさんが立っていた。

「Aちゃんは恋のお悩み中なのです。」

「え？そうなの？？ウケるね！」

『森本さん！？なに言いふらしてるんですか！！！でジェシーさんはなんでウケてるんですか』

「慎太郎。後輩のプライベートを言いふらすんじゃないよ。ごめんね。Aさんでも恋で悩むこともあるんだね。人間らしくて安心したよ」

『松村さんの中で私は今まで人間じゃなかったんですか？』

後ろでジェシーさんの笑いがさらに加速するのを感じながら、「じゃあね」と言って松村さんは営業部長のところへ行ってしまった。

『なんだったんだ』

「北斗は気まぐれだからね。そうだ、今日から俺の担当案件をいよいよAちゃんに一部引き継ぎし始めるから顔合わせついて来てもらうよ！」

『そうでした！今日からまたよろしくお願いします！先輩』

「おうよ！」

そう言って森本さんは車のキーを手で回しながら駐車場に向かった。私も、久々の森本さんとの外回りに、少し楽しみな心持ちでいた。