普通以上普通未満の生活 (ページ3)

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忍者よりもエリマキトカゲページ3

『このナビ古くないですか？あるはずの道がないですよ。私たち今海の上走ってます。』

「海の上走るとか俺たち忍者かよ！…おっしゃ。俺がナビしたるわ」

お、イケメンかよ森本さん。ポッケからスマホを取り出して地図を開く森本さんはなかなか様になっている。

『とりあえずここは直進で行ってみますね』

「ん゛ん゛っ……６００ｍ先を右折です」

『あ、本当にナビしてくれるんですね』

「５ｍ先で、一発ギャグです」

『どんなカーナビ？』

５ｍ先は鬼畜すぎるでしょ。ってか森本さん一人でめっちゃウケてる。

「あ～おもしろ。…ごめんね慣れてない道で運転させちゃって。さすがAちゃん、頼りになるぅ」

『私から申し出たんで遠慮しなくていいですよ。寝不足の森本さんにハンドル握らせて命を危険にさらしたくないですし』

「急に辛辣」

いつもの森本さんの運転なら喜んで乗るんだけど、寝不足ほど怖いものはない。私は寝ぼけて先生をお母さんと呼んだことがある。迷信かと思ってたけどホントにあるんだねあんなこと。

とはいえ横で少し不貞腐れる森本さんを一瞥してちょっぴり罪悪感に駆られる。寝不足らしいし少し仮眠の時間もかねて運転を申し出たんだけど、気ィ遣いの森本さんには酷な話だったかな。お、なんやかんやしてるうちに着いちゃったじゃん。私ってばデキル女！もしかしてアン・ハサウェイかな？

「ありがとう～Aちゃん」

『は～い』

「よっしゃ今日も、いっちょやったりますか！！」

『頑張りましょう！』

森本さんが肩をぶんぶん回してから私の前にこぶしを突き出す。それに応えるように私も握りこぶしを作り森本さんのにゴツっとグータッチをする。

って初めてしたんだけどなにこれ森本さんのルーティーン？よくあるよねこういうグータッチ青春映画で。熱い青春ストーリーも確かにいいけど私の好みは一発逆転タイプのサクセスストーリーなんだよな。

「Aちゃん！なに突っ立ってんの？早く行くよ」

『は～い』

「返事は伸ばさないのよっ！何度も言ってるでしょ！もっと威勢よく！！」

『ヘイ！！』

「飲み屋の大将かっ！」
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