普通以上普通未満の生活 (ページ20)

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物事の本質ページ20

はぁぁぁぁ〜

普段の業務が終わり皆が帰った中、残業が決定したデスクで項垂れていると、頭に先程の部長のお怒りの言葉が響いた。

何度もやり直しを要求されているプレゼン資料を見てなんだか気持ちが重くなる。

「あちゃ、Aちゃん残業か。」

声をかけられて顔を上げると、営業終わりの森本さんが戻ってきていた。

『そうなんですよ。プレゼン資料が上手くいかなくて』

「営業とかは上手くなったのに、それだけは何故か上達しないよね〜」

『うわ〜ぁ』

傷をえぐられてまた机に顔を伏せると森本さんが焦ったように取り繕う。

「わ！ごめん！そんなつもりじゃなくて、俺も似たようなタイプだったから」

『似たような？』

Aちゃんの教育係として？やっぱ俺がちゃんと指導してあげないとだよな！と気合を入れた森本さんが横のデスクの椅子を引いて座った。

「俺もプレゼン資料作んのめっちゃ苦手だったんだよな。お前のプレゼンは全然伝わらないって言われたことある。」

大事なのは、なんのためにプレゼンしているかだよ。

『…なんのために』

「そう、本質をしっかりと考えれば、もっといいものになると思うよ。Aちゃんなら楽勝っしょ！」

んじゃ！と言い逃げして帰って行く森本さんの背中を見つめる。

_____俺なら、相手にウケそうなことをどれだけ言えるかが肝だな。

突然、さっきエレベーターの中で質問した時のジェシーさんの返答が頭をかすめた。

そうか、、私は今までプレゼンに製品の魅力をめいっぱい詰め込んでたけど、それって見る側からすれば面白くないんだ。

プレゼンで一番大事にしないといけないのは顧客側の目線なのか。

よし、早く仕上げて1人酒しよ。