普通以上普通未満の生活 (ページ19)

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日本語は難しいページ19

「なんか最近はAちゃんがちょこちょこ独り立ちしてきて寂しいって慎太郎が言ってたよ」

「うわ、想像しちゃった」

『それ遠回しに失礼ですから。それに、私なんてまだまだお2人の背中が遠くて遠くて』

正直に謙遜していると横でジェシーさんが松村さんに小声で「背中が遠いってどういう意味？」と聞いている。おい、聞こえてるぞ。

『私は未熟者ですってことです』

「あ！そういうことね！！日本語って難しい！」

『あ！松村さん！！ありました！！顧客名簿！20年のでいいんですか？最新のありますけど。』

「いいのいいの！ごめんね！巻き込んじゃって」

ファイルを受け取るやいなや、颯爽と手を振り倉庫を後にする松村さんをジェシーさんと2人で見送る。あれ？私も一緒に上に行けばよかったよね？私なんで残ってんだ？

『そういえば、ジェシーさん何しに来たんですか？』

「ん〜…実はAちゃんと2人きりになりに来たんだよね、」

『……あの、冗談ならもう少し上手くやってくれませんか』

バレちゃったか！DAHA！と大きな声で笑うジェシーさんを横目に、私達も戻りましょ、と声をかける。

「ねぇ、Aちゃんは自己紹介するとしたら、どういうことを大事にする？例えば絶対に仲良くなりたい人に」

『え〜…そういうの苦手なんですよね。…どれだけ上手くアピールできるかとか？？』

ジェシーさんはどういうことに重きを置くんですか？喉まで出かかったこの質問をする前にジェシーさんがハッと表情を変えた。

「そういえば、さっき部長がAちゃんのプレゼン資料見てたよ？」

『だからそういうこともっと早く言ってくれません！？』

急ぎますよ！！！とジェシーさんを置き去りにしたままエレベーターまで走る。後ろでジェシーの笑い声がした。