普通以上普通未満の生活 (ページ15)

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甘い香水ページ15

先程の言葉が頭から離れないまま時間は過ぎていき、合コンはお開きになろうとしていた。

会計が終わるとなんとなくみんなペアが出来ていて、自然と固まっていく。とも子も親しくなった男性と仲睦まじく話しているのが見えて、バイバイと手を振られる。しゃあない、一人で帰るか、と駅の方を向いた時、誰かが私の腕を掴んだ。

「ちょっと〜、置いてかないでよ！」

うわ、忘れてた。藤本さん(ちゃんと名前は覚えた)か。

『でも、駅まですぐそこだし』

「え、もう帰っちゃうの？2人でもう一軒行こうよ。俺良い雰囲気のBAR知ってるんだよね」

これはもしや、森本さんが絶対ダメと言っていた、2軒目行ってお持ち帰りパターン、、？？

『ちょっと飲みすぎたみたいで、明日も仕事ですし、今日は帰ろうかな、』

「そう言わずにさ、ちょっとだけだから！」

ちょ、腕痛い！

？「彼女嫌がってるじゃん。離してあげなよ。」

突然後ろから引かれて離される。目の前に彼から私を隠すように茶髪の細い男性が立っていた。髪の隙間からリングのピアスが光っている。

「お前誰だよ。どうしようが俺らの勝手だろ」

？「この子俺の友達の彼女なんだよね。すっげぇ空手強い彼氏いるけど、呼ぼうか？」

彼氏もいないし空手強い人も全く心当たりありません。
ずっと藤本さんの方見てるから顔が見えない。

「は？お前彼氏いるのに来たのかよ！」

違う、と口を開こうとすると、遮るように茶髪の彼が話し出す。

？「数合わせで仕方なくね。忙しい彼氏から彼女守ってくれって頼まれてたってわけ」

「それもっと早く言えよな。そんなんじゃすぐ持ち帰られるぞ。」

じゃあな、無理に誘って悪かったな。そう言って藤本さんは去っていった。意外といい人だったのかな。

あ！さっきの人！お礼言わなきゃ！

思い出して周りを見渡すと誰もいなかった。代わりに目の前にタクシーが停まっていて、ドアを開いて運転手が待っていた。

「お姉ちゃん。さっきの茶髪でひょろっとした兄ちゃんがお代出してくれたから乗りな」

一体誰だったんだろう。頭の中に、先程の茶髪から覗くピアスと甘い香水の香りがよぎった。