普通以上普通未満の生活 (ページ2)

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プラダを着た悪魔ページ2

初めまして。私はある企業の営業部に新入社員として配属され日々社畜として勤務にいそしんでいる妙齢２3歳の女、AA。

今日も今日とて社会に貢献すべく勇敢な彼女は会社への足を止めない。パンツスーツに身を包み、コツコツと軽快にヒールを鳴らすその姿はまるでアン・ハサウェイ(※ナレーションは私、AAがお送りしております)

営業部のフロアに到着し、エレベーターの重い鉄の扉が開けば、目の前に広がるのはカリスマ編集長ミランダが鎮座する有名ファッション雑誌の編集社……ではなく、なんとも男くさい営業部である。

この会社の営業部はまだまだ男性が多いのが現状で、女性はナメられるとか何とかいう人が上にドカンと座っているため男女参画なんて言葉はどこへやら。

『おはようございます』

「おはよ～」

お、森本さんだ。デスクに突っ伏して片手にエナジードリンクって完全に限界の人じゃん。

『お疲れの様子ですね、森本さん』

「え？わかる？昨日相手先の人の接待が長引いたんだよ。そういうAちゃんはなんかテンション高く見えるけど」

『昨日大好きな映画を見たので今だけはモチベ上がってるんです。』

「へ～。モチベ上がっても今日金曜だけどね」

『それを言わないでください』

日曜に見ればよかった。失念失念。目の前でケラケラと笑っているのは、何かと目にかけてくれてる森本慎太郎先輩。この会社の営業部はフランクな人が多いので先輩と敬称をつけることの方が珍しい。

「何朝から楽しそうにして、俺も混ぜてよ」

『ジェシーさん！おはようございます』

「うっす」

「お前も昨日一緒だったのに何でそんな元気なの？尊敬するわ」

確かにジェシーさんめっちゃ元気オーラ出てる。っていうかこの人が疲れてるのなんて見たことなくない？

『森本さん、今日は私とですよ、外回り。』

「あ～～……昨日もっとセーブしとけばよかったぁ！！」

「ドンマイ！俺今日は内勤業務だから」

「うるさいジェシー」

グッドサインをポッケから出したジェシーさんに森本さんは半ギレになりながらジャケットを羽織った。